2018年CFB注目選手 vol.19 ウィスコンシン大 RB ジョナサン・テイラー

2018年11月12日
RBというポジションは本来地上戦の主役でありながら、近年のスプレッド攻撃においてはパラサイト感が否めない状態にあります。そんなトレンドに対して「逆張り」するが如く、昔ながらのパワーランを主軸とした攻撃スキームで「大黒柱」となっている選手を今回は紹介させて頂きます。


現在ロサンゼルス・チャージャーズのエースであるメルヴィン・ゴードンを筆頭にNFLで活躍する名ランナーを数多輩出しているBigTenの雄、ウィスコンシン大バジャーズ。現在その系譜を継いでいるのがJTこと二年生RBジョナサン・テイラーです。まずはフレッシュマンであった2017年シーズンのハイライトから御覧下さい。
近年のRBに求められているレシーバーのアラインからパスルートを走るようなスキルは持ち合わせていませんが、あらゆるブロッキングスキームへの対応力、一線を抜けてからの加速、タックルを切る技術、そして幾度とボールキャリーしてもヘタる事のない耐久性…いわゆるクラシカルな「本格派」ランナーであります。2018年新春のオレンジボウルにて、一年生とは思えない走りでマイアミ大の堅守を切り裂いたシーンもこちらの動画で御確認頂けます。現在のウィスコンシン大はJTのランにプレイアクションパスを絡めた攻撃を採用し、1990年代によく見られた「パワー」フットボールでこの21世紀のCFBを戦い抜いています。



2018年シーズン ハイライト

対ニューメキシコ大戦

33回のキャリーで253ヤードの3TD獲得。開幕戦のアイドリングを経てエンジンが回ってきました。



対ネブラスカ大戦

24回のキャリーで221ヤードの3TD獲得。キャリーあたり平均9ヤード以上をマークして最も効率の良いパフォーマンスでした。古豪ネブラスカ大もテネシー大同様に「かませ犬」的扱いになってしまっているのは口惜しい限りです。



対イリノイ大戦

27回のキャリーで159ヤードにTDなし。イリノイ大守備が健闘した感じで200ヤード超はなりませんでした。まあ150ヤード超えるだけでも凄いですが、少年ジャンプの漫画の登場人物によく見られる「数値インフレ」で麻痺する現象と同じですね。



対ラトガース大戦

27回のキャリーで208ヤードの3TD獲得。カンファレンスの「新参者」であるラトガース大ですが、まだまだBig Tenでの苦闘は続きそうです。



文字通り「馬車馬」の如く2018年シーズンも走りまくっているように見えるJTですが、「そういえば、赤いジャージィばかりのような気が…」とお気付きになられた方は御明察です。今シーズンに限ってJTはアウェイのゲームでそれほど走る事が出来ていません。アイオワ大戦とミシガン大戦では100ヤード程度(普通に考えると十分ですが…)の獲得距離で、ノースウエスタン大戦に関しては46ヤードしか走れていませんでした。それに連動してミシガン大戦とノースウェスタン大戦、ホームながら100ヤード程度しか走れなかったBYU戦については黒星を喫しています。

JTが200ヤードくらい走る事がウィスコンシン大勝利の「方程式」となっている反面、JTが封じられるとほぼ敗戦という「定理」も出来上がってしまっているようです。まさに現在のウィスコンシン大はJTと「一蓮托生」状態にあると言って良いでしょう。



素顔のJT

JTの素顔チェックもしてみましょう。ESPNのエースレポーターといって過言ではないマリア・テイラーとの談話の模様を御覧下さい。
マリアのレポートを見ていつも感じるのが、彼女の美貌を前に選手やコーチはいつもより饒舌になっているような気がします。そんなルックスだけでなく、自身もカレッジバレーボール選手であった経験が現場にスッと溶け込む事を可能にしているのかも知れません。筆者の観るゲームに限って言うと、マリアがサイドラインレポートをしているチームの勝率がかなり高いので「あげまん」感も申し分なし。彼女がパム・オリヴァーに続く名レポーターとなるのは間違いないでしょう。

…主役の方がオマケっぽくなってしまいましたが、JTも素朴な好青年である事がよく分かりますね。(付け足し感MAX)




ハイズマン賞の可能性、レジェンドRBの後継者となるか

2018年シーズン開幕前ではJTもハイズマン賞候補にもリストアップされていましたが、とんでもないパスの成績を叩き出すQBが続出しているのとウィスコンシン大の戦績がランク外に落ち込むほどイマイチである事もあり、今シーズンの受賞はかなり厳しいように感じます。現在のフットボール事情とは異なるものの、あのレジェンドRBバリー・サンダースがハイズマン賞を獲得したのは三年生のシーズンでしたしね。個人的にも彼はハイズマン賞に値する選手であると感じているので、来シーズン更なる「ブレイクスルー」を果たして是非とも同賞の歴史に名前を刻んで頂きたいものです。

独りでチームの屋台骨を支えなければならないという現状ではありますが、NFLの世界に入ったならば高度なパス攻撃の恩恵を受けてJTが走りまくる事は間違いないでしょう。この点においても、先述のバリー・サンダースが超パッシング偏重のラン・アンド・シュート攻撃のアシストを受けていたのと同じような現象を我々は目の当たりにするかも知れません。

レジェンドの後継者となるやも知れないこの「本格派」、今のうちに要チェックです。




[了]

同じカテゴリーの記事一覧

ページのトップへ戻る