2018年CFB注目選手vol.5 ミシガン大ウルヴァリンズ QB シェイ・パターソン

2018年8月19日
今回の2018年シーズンCFB(カレッジフットボール)注目選手は、以前から皆さんに紹介させて頂こうと思っていた「ファンタジスタ」であります。

新天地ミシガン大ウルヴァリンズで再起を誓う、その選手の名は三年生QBシェイ・パターソン。ファーストネームのスペリングは「Shea」ですが、赤塚不二夫先生のキャラクターよろしく「シェー」とは発音しないように気をつけて下さい

三年生QB「ファンタジスタ」シェイ・パターソン

Ole Missことミシシッピ大でCFBのキャリアをスタートしたパターソンは、2016年シーズン当初は赤シャツとして次年度までプレイ機会を待つ予定でした。ところが、先発QBだったチャド・ケリー(現デンヴァー・ブロンコス)の負傷によって選手登録を急遽要請される事に。そこから先発に抜擢された後は「ジョニー・マンゼルのヴァージョン2.0」と形容される程の創造性溢れるプレイぶりで注目を集めていました。

ところが、昨2017年はパターソン自身の負傷もあってか鳴かず飛ばずのシーズンに。代役を務めた短大からの編入三年生ジョーダン・タムが活躍したため、ミシシッピ大は「路線変更」を決定しました。

抜擢された「シンデレラボーイ」が新たな「シンデレラボーイ」によって弾き出されてしまうのはこのフットボール業界でよく見られる現象ですが、パターソンも似たような状況で転校を余儀なくされてしまった訳です。


そして素顔のパターソンのチェックも。『ウルトラマン』でアラシ隊員役を演じていた若い頃の毒蝮三太夫さん風カントリーボーイであります。

目下ミシガン大のQBのデプスチャートにおいてパターソンは筆頭のスターターに挙げられていますが、虎視眈々とその座を狙う他のQB達も追ってみましょう。


二番手、バックアップとして控える二年生ディラン・マキャフリー

二番手となるバックアップの位置にいるのは二年生ディラン・マキャフリー。

姓を聞いてピンときた方も多いかと思われますが、兄に現カロライナ・パンサーズRBであるクリスチャンを、そして父にデンヴァー・ブロンコスのレジェンドWRエドを持つ「血統書付き」選手(ちなみに長兄マックスはサンフランシスコ・49ersで、末弟ルークは高校でプレイしています)であります。どちらかというと彼の方がお父さん似ですね。

投球メカニズムに着目するとボールを担いで投げるマサカリ投法気味なので、一定の体勢でないとパスの精度が落ちてしまうタイプのように感じます。変幻自在にパスを放れる「ファンタジスタ」であるパターソンからスターターの座を奪うにはまだまだ力不足かも知れません。



三番手は一年生QB、ジョー・ミルトン。

そして三番手のサードストリングはピカピカの一年生ジョー・ミルトン。

Source:Joe Milton’s arm is an absolute cannon on YouTube.com

 

 

この動画の最後のシーンを御覧になれば、かなりの超絶アスリートである事を御理解頂けるかと思います。ただし、前方に大きくステップ幅を取って体重を預けるザトペック投法気味にボールを放っているため、実戦的なパサーとしてはまだまだ発展途上の感は否めません。彼も現段階ではパターソンの敵ではないでしょう。



HC ジム・ハーボーのキャリアを救え。

ミシガン大のOBでもある鬼才ジム・ハーボーが同大のHCに就任してから早4年目。フロリダやローマなど人気観光地での春季キャンプ開催、NIKE社の「ジャンプマン」ブランドをチームアパレルに導入、あのニック・セイバンをメディア上で「口撃」、そして反則スレスレのリクルーティング等…ハーボーはミシガン大に戻ってきてから様々なユニークかつエキセントリックな話題を我々に提供しています。

Source:Jim Harbaugh Goes Fowling – Detroiters on YouTube.com

 

 

その華やかなエンターテイメント的な面とは対照的に、かつての戦地であったPac-12やNFC西地区と異なり、コーチ陣に猛者が揃っているBig Tenにおいては依然無冠のままで苦戦を強いられている状態です。偉大なOBと言えど、そろそろファンが納得する戦績を挙げないと現在の職も危うくなりかねません。

昨今のミシガン大に決定力が欠けていた最大の要因のひとつとして、チームを牽引するQBに恵まれなかった事が真っ先に挙げられるでしょう。強力守備チームが数多所属するSECで揉まれたパターソンの獲得は、ハーボーにとって最大の「テコ入れ」となるのかも知れません。現在のミシガン大攻撃はPac-12のチームを彷彿させるくらい洗練されたスキルポジションの選手が揃っているので、新加入のパターソンがポテンシャルを発揮する環境も整っているように感じます。

しかも、同カンファレンスの宿敵(というか、もはや怨敵)オハイオ州立大がコーチのDVスキャンダルにより名将アーバン・メイヤーHCを欠いた状態でシーズンインするかも知れないという事態が発生。地区優勝の障壁がひとつ無くなるという、ミシガン大への「追い風」が今まさに吹こうとしています。

好機となりそうな今2018年シーズン、果たして「ファンタジスタ」転校生がハーボーのキャリアを救うのか…今後のミシガン大から目が離せません。



[了]

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