2017年CFB注目QB vol.4 USCトロージャンズ サム・ダーノルド

2017年10月8日
2017年シーズンCFB(カレッジフットボール)注目のQB(クォーターバック)シリーズ、今回は「ファンタジスタ系」よりUSCこと南カリフォルニア大トロージャンズ二年生サム・ダーノルドの紹介になります。ペンステイトことペンシルヴァニア州立大との大熱戦となった2017年正月のローズボウルでの活躍も収めている、2016年シーズンのハイライトをまずはどうぞ。

実年齢より老けて見える弁当箱みたいなルックスと対照的な「創造性」あふれるパフォーマンスには思わず息をのまされてしまいます。ずばり彼のプレイぶりは、プロフットボール殿堂入りを果たしているブレット・ファーヴのそれになぞらえても差し支えないでしょう。


2017年シーズン緒戦 USCとダーノルドの奮闘

初戦 vs 西ミシガン大ブロンコス

USCの2017年シーズン開幕の相手は昨シーズン躍進を遂げた西ミシガン大ブロンコス。指揮を執っていたP.J. フレックHC(ヘッドコーチ)がミネソタ大に去ってしまったにも関わらずその勢いはそのままで、USCは苦戦を強いられます。ダーノルドも後半にエンジンがかかって何とか差をつけた形になりましたが、前半のパフォーマンスは今ひとつピリッとしませんでした。

このゲームに関しては、全盲のLS(ロングスナッパー)ジェイク・オルソンによるPAT(ポイント・アフター・タッチダウン)でのスナップ成功の方が一般メディアにて大きく取り上げられた事を皆さん御存知かと思います。


最初の関所 vs スタンフォード大カーディナル

USCにとって2017年シーズン最初の関所になると予想されていた同じPAC-12所属のスタンフォード大との対戦にて、ダーノルドは26試投21回成功の316ヤードに4TD獲得とエンジンがかかってきました。やはり強敵になると燃えるタイプなのでしょうか…
ダーノルドが「ファンタジスタ」感を発揮している要素として、

①あらゆる体勢から正確なパスを安定供給出来るボディバランス
②逃げ回っている状態でもフリーになっているレシーバーを察知する視野の広さ
③レシーバーがまだ守備バックを振り切っていない状態でコースを見切って到達地点にボールを落とす予測能力と度胸

特に③は特筆もので、この動画の最後のTDパスに集約されているかと思います(最後のTDパスから動画が始まります)。レシーバー陣にラン・アフター・キャッチで距離を稼ぐ余裕があったり、ロングボールで相手チームのエンドゾーンを容易に陥れている現象もこの事より説明が出来るような気がします。

第三週 vs テキサス大ロングホーンズ

最後に、ダーノルドの「ファンタジスタ」感が余すことなく披露された第三週テキサス大との熱戦を編集版でどうぞ。テキサス大は以前紹介させて頂いたシェイン・ブーシェールではなく一年生サム・エリンガーを先発QBに抜擢し、彼の全力プレイもこのゲームに花を添えました。そしてダーノルドの十八番であるジャンプパスが、凄いタイミングで炸裂しています。
この組み合わせは当時の王座決定戦となった2005年ローズボウルと同じであるためキックオフ前から注目を集めていましたが、こちらの方もCFBの歴史に残る名勝負のひとつとして数え上げられる事になるでしょう。2005年の対戦での主役であったヴィンス・ヤングとマット・ライナートの姿も見られ、懐かしく感じられる方も少なくないように思います。



近年にない勢いで快進撃中のUSCですが、トップランカーの強豪チームと当たるには若干守備のパンチが足りないかなぁーというのが正直な所。プレイオフ進出の最終ランキング4位以内に食い込めるかどうかは、やはり攻撃の「ファンタジスタ」であるダーノルドの出来が鍵を握っているような気がします。



[了]

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