2019年 NFLドラフト注目選手 WR編

2019年2月24日
今回の2019年NFLドラフト注目選手紹介は、「活き」の良い選手が揃っているWRのカテゴリーを追って参ります。


Dr.FOOTBALL注目のWR 11選

以前Dr.FOOTBALLで紹介させて頂いた顔ぶれも多いかと思いますが、それぞれのハイライトを御覧になりながら「予習」を行っていきましょう。


エンキール・ハリー アリゾナ州立大サンデヴィルズ

今年のドラフト候補生において、NFLで活躍する確率が最も高い選手と断言しても良いでしょう。その特長としては安定したボディコントロール。自分のスピードを抑えてルート取りを行って、捕球後にそれを解放してタックラーを抜き去るプレイぶりは実に壮観であります。コンタクトへの耐性のある体躯の強靭さ、捕球に要する「手」と「目」の良さ、そしてホイッスルが鳴るまでプレイを続ける意識の高さも備わっているため、今年のドラフトにおいて一巡で「売切れ」となるのは間違いないでしょう。



J.J. アルセガ=ホワイトサイド スタンフォード大カーディナル

191cmに102kgの体躯を活かし、バスケットボールのセンタープレイヤー的に高さで勝負出来るのが彼の最大の特長です。大柄な選手にありがちな体格に依存したプレイを見せず、確立された技術に基づくルート取りを行っています。ボールへの執着心もグッドならぬグレイト。近年スタンフォード大のパサーが拙い傾向にある点を考慮すると、彼がCFBのキャリアで残した数字の価値はかなり上昇するかと思われます。生まれはスペインで、6歳の時にアメリカに移住して現在に至るとの事。



ライリー・リドリー ジョージア大ブルドッグス

2018年シーズン、ルーキーながらアトランタ・ファルコンズ攻撃の中核を担ったWRカルヴィンの実弟であります。スマートなルート取りとクイックネスで勝負する兄とは対照的に、持ち前のフィジカルでDBをねじ伏せる「ファイター」的なプレイスタイルが持ち味です。現在のNFLを代表する偉大なレシーバーと同じチームでプレイ出来るのであれば、その薫陶を受けて素材の良さと闘争心をもっと活かせるような気がします。ファルコンズがジョージア大のお膝元所在だけに、兄弟で同じチームになる事もあり得るかも…



マーキス・”ハリウッド”・ブラウン オクラホマ大スーナーズ

オクラホマ大の先発QBそしてハイズマン受賞者であるベイカー・メイフィールドとカイラー・マーリー両名の「お気に入り」ターゲットであったスピードスターです。ポストパターン等の敵陣深くに侵入するパスは勿論、ヒッチスクリーンや近年流行しているメッシュパターンにおける捕球後のゲインもかなり期待出来る選手であります。NFLで無双ぶりを発揮している同姓のアントニオ・ブラウンになぞらえる声が聞かれますが、「手」の方の技術は修正の余地ありと感じます。「ハリウッド」はフロリダ州にある郷土の地名にちなんだニックネームとの事。



デイヴィッド・シルズ ウエストヴァージニア大マウンテニアーズ

2018年シーズン中に彼を紹介させて頂いた時にも強調していましたが、スペースを意識したルート取りが出来る能力は出色。元QBという事から戦術理解度に基づいた汎用性の高さがあるため、NFLのチームでも重宝されるはずだと思います。同校の「バディ」であるQBウィル・グリアーと異なり、ちゃんとボウルゲームまで出場したメンタリティも「良し」です。若干ドロップ癖が見られるので、彼も「手」に関するスキルは修正していく必要があるかも知れません。



ハンター・レンフロー クレムソン大タイガース

フットボール史に残る名勝負となった2016年シーズンCFP王座決定戦にて、デショーン・ワトソンから決勝TDパスをキャッチした事で一躍注目を集めました。奨学金なしの待遇から這い上がってきた経歴の持ち主だけあって、飛んで来たボールを何が何でも捕るのは勿論ブロックに関しても最後まで手を抜かない「ハッスルプレイヤー」であります。四年間のCFBキャリアにてデショーン、ケリー・ブライアント、トレヴァー・ローレンスという三人のQBのポテンシャルを引き出した点も高評価。素顔はサッカー選手のアンドレス・イニエスタを彷彿させる朴訥(ぼくとつ)な感じですが、ガールフレンドはかなりの美人。「狩人」を意味する名前の通り、ボールだけでなく女性のハートをがっちり掴むのも上手なようです。



ジェイレン・スミス ルイヴィル大カーディナルス

今やボルティモア・レイヴンズの先発QBとなったラマー・ジャクソンが、学生時代に「お気に入り」ターゲットとしていた選手であります。そのデカイお尻と大太ももが物語るように動きが安定しているのと、コンタクトへの耐性が非常に強い事が特長です。ひょっとするとジャクソンがジョン・ハーボーHCにドラフト指名をお願いしているかも…



ジェレン・ハード ベイラー大ベアーズ

「前職」のRBの時に紹介させて頂いた事がありますが、NFLで今をときめくアルヴィン・カメーラとの「共存」が叶わなかったためテネシー大から転校、さらにWRへのポジション転向も決意した選手です。短期間でDBを抜き去る技術を高いレベルで習得してしまうような、卓越したフットボールセンスの持ち主であります。193cmに98kgの大柄な体格を活かして、ゴール前では「前職」のボールキャリアーとして起用される事もしばしば。多彩な隊形とプレイを運用するNFLにおいてもその「超人」ぶりは発揮されるはずでしょう。



マイルズ・ボイキン ノートルダム大ファイティングアイリッシュ

Source : Miles Boykin | Oh Okay Mixtape | 2018 on YouTube

 

LSUことルイジアナ州立大戦でのスーパーキャッチで一躍注目を浴びている選手であります。体格面で優れている分、そこに依存してしまってリリース等の技術面が大味なんですよね…若干評価に「バブル」感が拭えない選手であります。



フェルトン・デイヴィス ミシガン州立大スパルタンズ

スムーズな動きとボールに対する執着心そしてたなびくドレッドヘアから、プロフットボール名誉の殿堂入り確実と目されているラリー・フィッツジェラルドのプレイぶりを髣髴させるものがあります。ミシガン州立大の名伯楽マーク・デアントニオHCが人間性を重視して集めた選手の一人だけあって、「CFB界の戸田和幸」と(こちらで勝手に)呼ばれる知性的なパーソナリティも魅力。ひとつ気になる点は、若干スキニーであるトコロ。2018年シーズンも負傷してしまったため、耐久性への不安を払拭しておきたいものです。



ハキーム・バトラー アイオワ州立大サイクロンズ

サイクロンズというチームのニックネーム通り近年カンファレンスの上位陣をなぎ倒すBig 12の「台風の目」となっているアイオワ州立大を牽引した選手であります。漫画『アイシールド21』に登場する鉄馬選手よろしく機関車の如くルートを走り、捕球後もタックラーを弾き飛ばして最短距離でエンドゾーンまでボールを運ぶのが彼のプレイスタイル。惜しくらむはボディキャッチするきらいがあるため、NFLのDBとマッチアップした際にはかなり苦戦するような気が。手を先行して出せるようにスキルの修正を図って欲しいトコロです。



強力ユニットを形成した選手達

こちらからは、WRのポジション全体の層が厚かったユニットをまとめて紹介させて頂きます。


A.J. ブラウン + D.K. メトカーフ ミシシッピ大レベルズ

                        

最初はOle Missことミシシッピ大の「ビッグユニット」から。近年のOle MissはWRに大型選手を配置する傾向にありますが、身体能力に依存して技術が大味となってしまうケースが多いのも事実。能力差が歴然となり易いCFBでは通用しても、手練揃いのNFLのDB相手となるとそうはいかないのが歴史的にも証明されています。こちらの御両名に関しても、NFLに向けて技術面と精神面の研鑽に務めて頂きたいものです。


まずは「ビッグユニット」の片翼をになったA.J. ブラウンのハイライトから御覧下さい。
同校WRのエースナンバーである「1」を背負っているだけに、DBをセパレートする能力や「手」のスキルに関しては申し分ありません。気になるのは、TD後の「俺のプレイを見たか」的な態度でしょうか。NFLにおいて「超」一流WRは謙虚な人物ばかりで、尊大な性格を変えられない選手は必ず淘汰されますからね。


続いてD.K. メトカーフをどうぞ。
ブラウンよりも、フィジカルで押せ押せの傾向が強いように感じます。ドラフト指名を受ける事は間違いありませんが、スキルを磨かないとプロ入り後に結構痛い目を見るような気が。メトカーフは祖父から続くNFL選手の家系に生まれており、伯父さんのエリックがクリーヴランド・ブラウンズ等でRBやWRそしてKRとして活躍していた事をオールドファンの皆さんならば御存知かと思います。



ケルヴィン・ハーモン + ジャコビ・マイヤーズ ノースカロライナ州立大ウルフパック

                                  

NCステイトことノースカロライナ州立大の「両翼」も大型選手を揃えており、QBライアン・フィンリーのパサーとしてのポテンシャルを引き出していました。


最初はケルヴィン・ハーモンの2018年シーズンハイライトからどうぞ。
しっかりした身体が物語るように、DBとの1対1の競り合いや捕球後のコンタクトにおいて強みを発揮している選手です。ただしダブルムーブを行ってもDBを引き離せないケースが見られるため、ルートランニングについては修正の余地ありのように思います。


続いてジャコビ・マイヤーズの2018年シーズンハイライトを御覧下さい。
ボディコントロールの安定感とアジリティの高さを活かして、巧みにルート取りを行う選手であります。2018年シーズンは獲得距離とTDにおいてハーモンに及びませんでしたが、フィンリーの「お気に入り」ターゲットとなった故に捕球回数は10以上を上回る92をマーク。QBからの信頼が得られる事もWRの重要な資質であるため、筆者個人としてはマイヤーズの方が「出世」するかなーと見ております。



テリー・マクローリン + ジョニー・ディクソン + パリス・キャンベル オハイオ州立大バッカイズ

                                             

オハイオ州立大は前回紹介させて頂いた先発QBドゥエイン・ハスキンスばかりに注目が集まりがちではありますが、こちらのWR「三羽ガラス」の存在が無ければハスキンスが驚異的な数字を叩き出す事も叶わなかったでしょう。上記の2チームが「ビッグユニット」で固めているのとは対照的に、小粒ながらもそれぞれが持つ「柔」「剛」「疾」の特性を活かして絶妙なバランスを発揮したユニットであります。


その中でも筆者イチ推し、ユニットの「柔」を担当したテリー・マクローリンのハイライトから御覧下さい。
パス守備の間隙を見つけて侵入あるいはQBがボールを落とすスペースを確保するルート取りに留まらず、パントカバーにおいてもファインプレイが出来るなど、あらゆる面において優れたフットボールセンスを有しています。際立った身体能力やサイズがある訳ではないですが非常にバランスの良い選手なので、彼こそアントニオ・ブラウンのような選手に「化ける」ポテンシャルを秘めているかも知れません。


次は「剛」のジョニー・ディクソンをどうぞ。
フィジカルの強さで勝負する選手で、ヒットを恐れず闘争心を前面に出す「ファイター」タイプであります。相当トレーニングに努めているのは、その太っとい腕を見れば一目瞭然。私生活を追った動画でボーリングを楽しんでいるシーンがありましたが、そちらの方では剛腕でピンをすっ飛ばす感じではなく変化球を駆使する繊細さを見せていました。


最後は「疾」のパリス・キャンベルになります。
2018年シーズンの捕球回数に関してマクローリンが35回でディクソンが42回であったのに対して、こちらのキャンベルは何と90回。獲得距離も一人だけ1000ヤードを超えている事から、いかにハスキンスが彼を頼りにしていたかがよく分かります。持ち前のスピードを活かしたキックリターナーとしての能力も出色で、そのポジションならば確実にNFLでも輝くはずだと思います。



今年はWRの「当たり年」

昨年の今頃にWRのドラフト候補生についてお話した時は、何とか選手をひねり出して書いていたのが正直なトコロでした。それとは対照的に、筆者の琴線に触れるような選手が泉のように次から次へと湧き出してしまいこのようなボリュームになってしまったのが今年の特集であります。

他のポジションでも言える事ですが、最高のWRである条件とは何ぞやと問われても一概に「これだ」と回答するのは難しいでしょう。隊形における位置やプレイそしてチームが標榜する戦術において、各自の「色」を活かした選手が成功する訳ですから。今やNFLを代表するWRの一人である、あのジャーヴィス・ランドリーもスカウティングコンバインの40ヤード走では4秒77がベストタイムでしたし…

今年のドラフト候補生達の中からフットボール史を覆すような「モンスター」的存在を見出すのは難しいものの、各選手の持つ「色」が鮮やかなような気がします。巧みなルート取りあるいはぶっちぎりのスピードでDBを抜き去り、そしてタックラーを物ともしないフィジカル等々…自らの持ち味を活かしてNFLで輝くかも知れない可能性を感じさせてくれる選手揃いという意味で、今年はWRの「当たり年」と定義出来るかも知れません。



[了]

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