2018年NFLドラフト エッジラッシャー

2018年4月23日
今回の2018年NFLドラフト注目選手シリーズは、ある意味フットボールにおける「打ち上げ花火」とも言えるQB(クォーターバック)サックを演出するDE(ディフェンシヴエンド)またはOLB(アウトサイドラインバッカー)、いわゆるエッジラッシャーのカテゴリーから厳選四名を紹介させて頂きます。


ノースカロライナ州立大ウルフパック ブラッドリー・チャブ

トップバッターは恐らく十年にひとりの逸材と断言しても良いでしょう、NCステイトことノースカロライナ州立大ウルフパックよりブラッドリー・チャブになります。
卓越したスピードとハンドテクニックを駆使して、OT(オフェンシヴタックル)に自分の身体を触らせる事なくQBを確実に「ハント」します。ただ猪突猛進するだけでなく、オプションプレイの際には肩をスクリメージラインと平行にしてボールキャリアーを判断するクレバーさや、独走するボールキャリアーを最後まで追いかけるメンタリティも十分に備わっている選手です。

さらにサービス精神も旺盛で、クレムソン大QBケリー・ブライアントのタオルをかすめ取るイタズラをゲーム中にやってしまうようなチャブっ気…もとい茶目っ気も持ち合わせております。
2006年NFLドラフトで全体1位指名を受けた「スーパーマリオ」ことマリオ・ウィリアムズ(ヒューストン・テキサンズより指名)がNCステイトではレジェンド的存在でありますが、チャブは先輩のレベルを遥かに凌ぐ活躍をするだろうと個人的にニラんでいます。プロ・デイの際にはニューイングランド・ペイトリオッツHC(ヘッドコーチ)のビル・ベリチック御大が直接チャブにアドバイスをするなど、「目利き」名人からの期待度も相当高いようです。文字通り、NFLでもOTをひっくり返す「チャブ台返し」が見られるのは間違いないでしょう。



ルイジアナ州立大タイガース アーデン・キー

続きまして、LSUことルイジアナ州立大タイガースのアーデン・キー。

長い手足を活かしたプレイスタイルは、現役NFL選手に例えるとJPPことジェイソン・ピエール=ポール(ニューヨーク・ジャイアンツ)のそれに近いです。加えて、プレイリードが出来るクレバーさとキックアウトするブロッカーにも負けないタフさも兼備。若干スキニーではありますが、プロ入りして大きな収入を得ると共に栄養状態も飛躍的に向上するので心配は無用だと思います。今や貫禄たっぷりのテレル・サッグス(ボルティモア・レイヴンズ)だって学生時代は結構スリムでしたからね…



テキサス大サンアントニオ校ロードランナーズ マーカス・ダヴェンポート

UTSAことテキサス大サンアントニオ校ロードランナーズよりマーカス・ダヴェンポート。

大きなフレームに高い運動能力が持ち味ですが、技術の方はまだまだ発展途上のように感じます。現役NFL選手に例えると、近年プロボウルそしてオールプロのセカンドチームに選出されたジギー・アンサ(デトロイト・ライオンズ)に近いタイプでしょうか。大学に入るまでフットボールのプレイ経験が無かったにも関わらずポテンシャルを買われてドラフト指名されたアンサ同様に、実戦を重ねてスキルを磨いていけば大きく化ける可能性はあるように思います。


オハイオ州立大バッカイズ サム・ハバード

最後はオハイオ州立大バッカイズよりサム・ハバード。

USCこと南カリフォルニア大との対戦となった2017年師走のコットンボウルにおいて、今回のドラフト注目QBのひとりであるサム・ダーノルドの「ファンタジスタ」パワー発動をことごとく阻止していました。高校時代はラクロスのスター選手だった事もあり、同カテゴリーの有望株の中において運動量の豊富さはピカイチと言って良いでしょう。素顔の方も端正なマスクの持ち主で、多くの女性ファンを獲得しそうな感じがします。

ハバードに限らず2017年シーズンのバッカイズ守備フロント全体に言えたのが、試合終了までパスラッシュの勢いがとどまらなかった事です。ペンステイトことペンシルヴァニア州立大との天王山においても、第4Qに入ってヘロヘロになったペンステイトの攻撃ラインとは対象的に、セイクオン・バークリーやトレイス・マクソーリーを追っかけ回してハイパー攻撃による反撃を見事に封じ込めました。これは、NFLでのHC(ヘッドコーチ)経験もあるグレッグ・シアーノ守備コーディネーターによる指導の賜物のように思われます。攻守交代の際にシアーノさんが守備チームを集めて激を飛ばすシーンを見かける度、「テメェら、マッチアップで負けたとしても最後まで足止めるんじゃねぇぞ!」という声が聞こえんばかりの「アツさ」を画面越しからでも感じ取る事が出来ました。



ディフェンスで最も集客に貢献できるポジション「エッジラッシャー」

チームの勝敗を決する戦力という観点は勿論、ファンを湧かせるQBサックという「花火」を打ち上げられるというトコロで、守備において最も集客に貢献しているポジションは彼等エッジラッシャーであるというのが僕個人の見解であります。QB同様にこのカテゴリーで観戦される皆さんの多くを魅了する選手(出来れば純国産)がもっと増えると、我が国におけるフットボールのゲームもよりエキサイティングなものになるかも知れません。



[了]

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