2018年 – ブラウンズが期する捲土重来。【前編・選手の補強】

2018年7月19日
昨2017年シーズンは0勝16敗と「逆」パーフェクトシーズンを達成してしまった、AFC北地区所属のクリーヴランド・ブラウンズ。2017年と2018年のドラフトでは都合20名分の指名権をフル活用してチーム再建を図っていますが、プレイオフ常連だった強い時代を知っている者としてはファンの皆さん同様「ホンマそろそろ頼むぜ!」と感じております。そこでドラフトとトレードによって補強した選手を追いながら、果たして2018年シーズンは期待出来るのかという検証を行って参りますのでお付き合いの程を。


今回は際立った補強選手に注目しながら所属ユニットの概観を行ってみましょう。


【QB】 ベイカー・メイフィールド & タイロッド・テイラー

まさかベイカー・メイフィールドが全体1位で指名されるとは筆者自身も想像だにしていませんでした。ニューイングランド・ペイトリオッツがトレードアップによる指名を画策していたという裏情報もあるくらいで、彼の力を過小評価していた事について反省しきりであります。今までの練習における仕上がりを見ると、少なくとも同じハイズマン受賞者でブラウンズに指名されたジョニー・マンゼルのルーキー時に比べると格段に良いように感じられます。

こちらは昨シーズン限りで引退を表明したブラウンズ、いやNFLの「至宝」OTジョー・トーマスによるインタビューになります。かなり痩せてしまったのと同時に、かなり饒舌なのにはビックリしました。


メイフィールドに関して言うとドラフトの前後は線が細くなった印象でしたが、現在の様子を見ると絶好調だった昨年のレギュラーシーズンくらいのふっくら感に戻っているようです。

上記の動画で一緒に練習しているタイロッド・テイラーが先発QB争いにおける目下のライバルとなります。バッファロー・ビルズでも先発経験がある経験豊富な選手であるためメイフィールドが開幕先発とは簡単にいかないと思われますが、突然訪れるやも知れないデビューに備えて励んで頂きたいものです。

それにしても、昨年ドラフト二巡指名したデショーン・カイザーをグリーンベイ・パッカーズにしれっとトレードに出してしまい「あれは無かった事にしてね」的な感じにしている、ブラウンズのフロント運営に一抹の不安が残るトコロではありますが…


【RB】 ニック・チャブ & カルロス・ハイド

Dr.FOOTBLLを愛読されている皆さんならば、もはや説明不要のニック・チャブ。

2017年シーズンのCFP(カレッジ・フットボール・プレイオフ)一回戦となったローズボウルで熱戦を演じたメイフィールドと、まさかNFLでチームメイトになるとは夢にも思っていなかったでしょうね。インタビューの様子を見ても全く「ウェーイ」感のない落ち着いた若者である事がよく分かります。


こちらも学生時代に紹介させて頂いた事のあるサンフランシスコ・49ersから獲得したカルロス・ハイド。

Source:Carlos Hyde 2017 49ers Highlights on YouTube.com

 

オハイオ州立大の後輩であるエズキル・エリオットがルーキーシーズンのブレイクで一躍スターダムにのし上がりましたが、もし49ersが現在のダラス・カウボーイズのような強力攻撃ラインユニットを擁していたならば先に話題となっていたのはハイドの方だったかも知れません。ジョー・ステイリー以外は心許ない攻撃ラインユニットのもとで、よくこれだけ走ったものです。


ちなみに昨シーズンまでブラウンズの地上戦を支えていたのは、こちらのデューク・ジョンソン。

マイアミ大の先輩であるエッジャリン・ジェイムズばりに、ランとパスの両面で活躍出来る非常に汎用性の高いRBです。ブラウンズが彼と契約延長したという事は、先の二人を含めた3RB併用システムを導入しようとする意図がうかがえます。


【WR】 ジャーヴィス・ランドリー

今シーズンにおけるブラウンズ最大の目玉補強は間違いなく彼、ジャーヴィス・ランドリーの獲得でしょう。

飛んできたボールは必ずキャッチするプレイ遂行力はピカイチ。ワンハンドキャッチはニューヨーク・ジャイアンツのOBJことオデル・ベッカム・Jr.の専売特許と見る向きがありますが、彼もなかなかのものです。一緒に練習したメイフィールドに「今までこんな選手見たことないっス…」、スキルポジションには辛口なニューイングランド・ペイトリオッツHCビル・ベリチェックに「彼がフィールドにいると何かが起きる」と言わしめるくらい、NFLを代表するワイドアウトであるのは万人が認めるトコロ。これは文句のつけようがない良い「買い物」だったと思います。



さらに既存WRに注目すると、何気にデプス(層)は厚いです。

こちらのジョシュ・ゴードンなんて素行面がちょっとアレなので損をしていますが、素材的にはフリオ・ジョーンズやA.J. グリーンに匹敵するモノを持っていると言って良いでしょう。

カレッジ時代に当時最高のWRという評価を受けていたコーリー・コールマンもNFLの水にかなり慣れてきました。高い敏捷性と根性溢れるキャッチを活かして、スロットレシーバーで起用した方がさらに活きるような気がします

「良いモノ」を持ちながらも皆が納得するような結果を出し切れていなかった両名ですが、ランドリーの加入できっと良い刺激を受けるはず。このユニットに発生するであろう「ケミストリー」はかなり期待出来そうです。


【DB】デンゼル・ウォード & デマリアス・ランドール

マイルズ・ギャレット、ジャブリル・ペッパーズ、デイヴィッド・ジョークーを獲得した昨2017年のドラフト一巡を「規格外(バケモノ)」指名とするならば、今年の一巡におけるメイフィールドとこちらのデンゼル・ウォードの獲得はメディアを意識した「貴公子(イケメン)」指名と言って差し障りはないでしょう。御覧のインタビューでも爽やかなスマイルを振りまいております。

ドラフト直後では「全体1位でセイクオン・バークリーを指名して、その後でメイフィールドを指名しても良かったんじゃないの?」という声も上がりましたが、共に練習している既存選手からの評判は上々。オハイオ州立大時代のプレイぶりから、TEとの競り合いにも勝てる高いマンカバー能力に加えて中々のタックル技術を有している事が分かります。確かに、ルックスだけの優男ではありませんね。

先述のデショーン・カイザーとのトレードでグリーンベイ・パッカーズから獲得したのは、こちらのデマリアス・ランドール。

SとCBの両方をプレイ出来る汎用性の高いDBで、彼もパッカーズがドラフト指名した際にDr.FOOTBALLで紹介させて頂きました。間違いなくこのトレードはブラウンズが彼を所望した(カイザーとは同じ明日を見ないという決断も大きいですが…)故に成立したのは間違いないでしょう。袖を絞らないジャージィとダボっとした長袖のディオン・サンダース的クラシックな着こなしも逆に新鮮でイカしています。



既存のDBに注目すると、長年チームの顔であったジョー・ヘイデンがピッツバーグ・スティーラーズに去ってしまった後は、昨年のドラフトで獲得した「規格外」アスリートであるジャブリル・ペッパーズしか目玉がいない状態でした。

新加入のウォードとランドールは、早くもブラウンズのデプスチャートで先発の位置に名を連ねています。技術的にしっかりしているこの二人の存在で、ペッパーズは持ち前の「野性味」をより発揮出来る事でしょう。こちらのユニットにおける「ケミストリー」もなかなか楽しみです。



以上のように新加入選手と既存選手の「ハーモニー」が期待出来そうな感じではありますが、素晴らしい「素材」を活かせるかどうかは料理人の「腕」にかかっているのと同様、彼等を統べるコーチ陣の力量も無視する事は出来ません。

次回は現在のコーチ陣についてお話しながら、2018年シーズンにブラウンズが躍進出来るかどうかの考察を進めていきたいと思います。



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