2017年NFLドラフト青田買い情報13 – ランニングバック特集

2017年4月24日
早いもので2017年NFLドラフトも目前に迫って参りましたので、まだお話していない候補生をポジションごとにザーッと紹介させて頂きます。まずはRB(ランニングバック)から。

1. 「超人系RB」レナード・フォーネット - ルイジアナ州立大タイガース

まずは、以前にもハイズマン賞候補で紹介させて頂いたLSUことルイジアナ州立大タイガーズのレナード・フォーネットのハイライトをどうぞ。いわゆる「超人」系RBで、専門筋でもAPことエイドリアン・ピーターソンの姿になぞらえる声も多いようです。自分から守備選手にガンガン当たりに行ったりアップライトで走るプレイスタイルは確かにAPと似ていますが、同時に重篤な負傷をしてしまうリスクを感じさせられます。APもケガが多いですし…

攻撃ラインが強い等の整った環境で上手くはまれば、プロでも年間リーディング・ラッシャーに輝くポテンシャルは間違いなくあると思います。あとは「不知火型」ランナーの宿命である稼働年数の短さを、NFL各チームのスカウトがどう捉えるかですね。

指名推奨度:○

Source:Ultimate Leonard Fournette Highlights | HD on YouTube.com

 

 

 

2. ピッツバーグ大パンサーズの「タフガイ」 ジェイムズ・コナー

ピッツバーグ大パンサーズのジェイムズ・コナーは正真正銘の「タフガイ」であります。

2014年シーズンは御覧の通りの力強い走りでACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)の最優秀選手に輝いただけでなくハイズマン賞の候補にも数えられていましたが、何と2015年はホジキンリンパ腫を発症してシーズンアウト。2016年は治療から見事復活し、シーズン王者のクレムソン大から挙げた大金星の立役者となりました。

チームを鼓舞するキャプテンシーや、オリエンタルラジオの中田敦彦さんを2.5倍ゴツくした風貌は何となく聡明さを感じさせます。現在ロッカールームのリーダーシップが欠如しているチームにとって、フィールド外でも発揮される彼の能力は迷わず「買い」でしょう。

指名推奨度:○

Source:James Conner Pitt Highlights “Conner Strong” on YouTube.com

 

 

 

3. 「ヘビー級巨漢RB」 ディオンテ・フォアマン - テキサス大ロングホーンズ

テキサス大ロングホーンズのディオンテ・フォアマンは身長185cmに体重113kgの「ヘビー級」サイズにも関わらず、小気味よいアジリティとスピードを持ち合わせています。

特に、横に流れてから縦に上がって守備選手を抜き去る走りは驚異的です。同大からハイズマンを受賞した先輩リッキー・ウィリアムズも彼を応援しているようですが、巨漢RBはプロになると栄養状態がさらに良くなってオーバーウェイトする傾向があるため、NFLのスカウトも敬遠しがちになるんですよね…

持っている資質を活かすためにも、体重のコントロールには励んで欲しいものです。

指名推奨度:○

4. 「掘り出しモノRB」ジャマール・ウィリアムズ - ブリガムヤング大クーガーズ

2017年のドラフトで最も掘り出しモノと思われるのが、こちらのBYUことブリガムヤング大クーガーズのジャマール・ウィリアムズ。

トップスピードがムチャクチャ速い訳ではないものの、走る穴を見つけるのが上手く、ファーストタックルでは倒れずコンスタントにゲインを重ねられるランナーです。背番号のせいかも知れませんが、タックルの切り方を見るとプロフットボール名誉の殿堂入りを果たしたラディニアン・トムリンソンの姿を彷彿させられます。

日本国内はもちろんアメリカのメディアでも大きく取り上げられている選手ではないため、今のうちにツバをつけておくと良いかも知れませんよ。

指名推奨度:○

5. エミット・スミスを彷彿させるイライジャ・フッド - ノースカロライナ大ターヒールズ

同じノースカロライナ大ターヒールズのT.J. ローガンがNFLスカウティング・コンバインの40ヤード・スプリントでRB最速タイムを叩き出したためにやや霞みがちとなっていますが、こちらのイライジャ・フッドも中々どうして良いランナーであります。

プロフットボール殿堂入りのエミット・スミスを少しスピードアップさせたような印象で、根気よく穴が開くのを待ってすり抜けるのが彼のプレイスタイルです。能力が高い候補生の中において地味な存在ではありますが、攻撃ラインの整備が十分でないチームにとってこういう選手は大変重宝すると思います。攻撃ラインが猫の抜けられる穴くらいしか開けられない環境であってもエミットはゲインを重ねていた事実からも実証出来ますからね。

いずれにせよ、ローガンよりスクリメージ・プレイでの汎用性は高いように感じます。

指名推奨度:○

Source:Ultimate Elijah Hood Highlights | HD on YouTube.com

 

 

 

6. ウェイン・ガルマン - クレムソン大タイガーズ

デショーン・ワトソンと共にクレムソン大タイガーズのラン攻撃を支えてきたウェイン・ガルマンも2017年NFLドラフトにエントリーします。

現ダラス・カウボーイズの『RUN D.M.C.』ことダレン・マクファッデンに近い走りのスタイルですが、マクファッデンほどスプリント能力は高くないかなぁーという印象。御覧の2015年シーズンは活きの良い走りを見せてくれたものの2016年シーズンは若干トーンダウンした感じで、アラバマ大との全米王座決定戦においては横綱守備の前で完全に沈黙させられました。

またキッキングゲームでの汎用性が高いタイプではないため、NFLのスカウトも辛い評価を下しているかも知れません。成長の頭打ちという印象を払拭して、チャンスを掴んだ際には踏ん張って欲しいものです。

指名推奨度:○と△の間かなぁ…

Source:Clemson RB Wayne Gallman 2015 Highlights ᴴᴰ on YouTube.com

 

 

 

7. 「苦労人」アルヴィン・カメーラ - テネシー大ヴォランティアーズ

プロ入りした暁には大きく化けるのではないかと思わせてくれるのが、こちらのテネシー大ヴォランティアーズのアルヴィン・カメーラ。

大学一年生時の所属は何とあのアラバマ大。RBの層の厚さから短大への転校を余儀なくされ、そこからテネシー大に編入し先発の座を勝ち取った苦労人でもあります。レシーバーの位置からパスルートを走る器用さも持ち合わせており、あえて言うならば現ニューヨーク・ジェッツ所属のマット・フォーテのようなタイプでしょうか。それ故にあらゆるダウンでの起用が期待出来そうです。

走るスタイルは異なりますが、かつてNFLを席巻したジャマール・ルイスやアリアン・フォスターの系譜を継ぐ同大出身の名ランナーとなる可能性は十分に有り得るでしょう。

指名推奨度:○

Source:Tennessee RB Alvin Kamara 2016 Highlights ᴴᴰ on YouTube.com

 

 

 

8. 「万能型RB」クリスチャン・マキャフリー - スタンフォード大カーディナル

日本国内でもにわかに認知度が高まっているのが、こちらのスタンフォード大カーディナルのクリスチャン・マキャフリー。かつてデンヴァー・ブロンコスでWR(ワイドレシーバー)の主軸であったエド氏の御子息であるのも、皆さん周知の所ではないでしょうか。

そんな父親譲りの球さばきに加えて、母方のお祖父様が五輪の短距離選手という韋駄天遺伝子を受け継いだ事により様々なストロングポイントを彼にもたらしています。キッキングゲームでの汎用性、芯をずらしてタックルをかわす技術、そして多様なフォーメーションとプレイをこなせる柔軟性は他の候補生と比べても随一と言っても良いでしょう。

ボールに絡むスキルは文句無しなのですが、RBのもうひとつの大切な仕事であるパスプロテクションに関しては未知数である事は否めません。スカウティング・コンバインでのベンチプレスも苦悶の表情で挙げていましたからね…

ボールキャリーをとんでもない回数こなす馬車馬タイプというよりも、色々なプレイで貢献する万能型に当てはまると思うので、是非パスプロテクションの技術も磨いて欲しいものです。

指名推奨度:○

9. 「ジョーカーかババか」ジョー・ミクソン - オクラホマ大スーナーズ

こちらの候補生は、ランニングゲームを強化したいNFLチームにとっては「切り札」となるかも知れないし、またババ抜きの「ババ」にもなりかねない「ジョーカー」的な存在であります。

オクラホマ大スーナーズのジョー・ミクソンは二年生ながら、赤シャツ(練習生)期間を含めて計三年間の大学チーム在籍によりドラフトへのエントリーを認められました。「スピード」「サイズ」「スキル」「ストレングス」の「4S」全てを兼ね備えたランナーで、素材だけで考えると今まで列挙したドラフト候補生の中ではNo.1といっても過言ではないでしょう。

そんな「逸材」でありながらNFLのスカウト達も評価に迷いを生じてしまうのは、精神的な拙さという致命的なウィークポイントを持っているからです。公の場で口論となった女性を殴打して(証拠ビデオは生々し過ぎてここではアップしませんが…)お縄になったり、大学の駐車場職員を侮辱する行為をしてしまったりと毎年何かしらのドラブルを起こしています。NFLスカウティング・コンバインに招待されなかったのも、逮捕歴がネックとなったためです。

オクラホマ大のボブ・ストゥープスHC(ヘッドコーチ)も「ドラフトにエントリーするならしちゃえば良いんじゃないの」と厄介払いするように、ミクソンを引き留める素振りが感じられませんでした。個人的に2017年シーズンはオクラホマ大イチ推しなので、彼には残留して欲しかったのですが…

ミクソンを見ていると、溢れる才能を武器にCFBで大活躍したネブラスカ大のローレンス・フィリップスの事を思い出してしまいます。NFLに進んでからは輝くプレイを時折見せたものの、やはり素行不良がネックとなって致命的な負傷をした訳でもないのに早々とNFLから姿を消してしまいました。

心に「闇」を宿す選手からそれを取り除く事は、歴戦の名将であっても至難の業かも知れません。

指名推奨度:△


Source:Oklahoma RB Joe Mixon 2016 Highlights ᴴᴰ on YouTube.com

 

 

 

10. 「満を持してNFLドラフトに登場」サマージェ・ピーライン - オクラホマ大スーナーズ

最後の紹介はやはりこの選手、ミクソンと同じオクラホマ大スーナーズのサマージェ・ピーライン。2016年シーズンの活躍を余す事なく集めた特大ハイライトをどうぞ。

度々Dr.FOOTBALLで取り上げてきたランナーですが、いよいよ満を持してNFLドラフトに登場です。NFLスカウティング・コンバインでもベンチプレス105kgを30回挙げる等、プロ入りに備えて日頃のトレーニングにも怠りがないように見えます。

指名推奨度:◎

Source:2016 Samaje Perine on YouTube.com

 

 

 

大学一年生から注目していたというバイアスがかかっているかも知れませんが、RBの◎はダルヴィン・クックとサマージェ・ピーラインの二人となりました。タイプは異なるものの、両名の共通点は大学生として最後にプレイしたボウルゲームでの内容が非常に素晴らしかった事。肝心な所で能力を発揮する「底ヂカラ」の前に、どんな測定数値も敵うはずはありませんからね。彼達二人にはそういった"something else"を感じさせてくれます。

他の候補生達も良い意味で予想を裏切ってくれる事を願いつつ、彼等のプロ入り後の活躍を楽しみにしたいと思います。




[了]

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