フットボールの神様に愛された男 ジョー・モンタナ

2018年6月11日
6月11日と言えば、釈迦、孔子、イエス、マホメット、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・マーリィに並ぶ世界七大聖人の一人であるNFLのレジェンドQB(クォーターバック)ジョー・モンタナの誕生日であります。世界史の試験でも出題されやすいので、受験生の皆さんは必ず覚えておきましょう。

現役引退から20年以上が経過しているためモンタナの活躍が「伝説」と化していると言えば聞こえは良いですが、実際のトコロは若いフットボール選手の中で「風化」しつつある感が否めません。現役時代のプレイから「洗礼」を受けた者としては、そのモンタナの「神」っぷりを後世に伝える義務があります。細かいプロフィールはウィキペディアにお任せして、今回は元祖「G.O.A.T.(Greatest Of All Time =史上最高)」であるジョー・モンタナについて若手の皆さんには発見を、ベテランの皆さんには再確認をして頂ければ幸いに思いますので暫しお付き合いの程を。

元祖「G.O.A.T.」 ジョー・モンタナ

サンフランシスコ・49ersとカンザスシティ・チーフスでの活躍は勿論、ノートルダム大時代の「モンタナ・マジック」も網羅したランキング形式のハイライトをまずは御覧下さい。これはモンタナ教徒にとっても、基本に立ち返る「教典」のひとつになります。

1981年シーズンNFC決勝においてドワイト・クラークへ投じた起死回生のTDパス、いわゆる「The Catch」が堂々の1位でした。こんな企画も出来る程、やはりアメリカ人にとって最も印象的なプレイなんですね。


しょーもない企画にも関わらず、イヤな顔ひとつせずパスを投げ続けるモンタナの寛大さはまさに「神」そのもの。クラーク役のオッサンは子供相手に大人げありませんが、彼がはしゃぐ気持ちは分からなくもありません。


先述のハイライトの選から漏れてしまいましたが、個人的に最も感銘を受けたゲームは負傷による長い欠場期間から復帰した1992年シーズンのデトロイト・ライオンズ戦です。モンタナの不在中にチームを牽引したスティーヴ・ヤングを今後先発として起用する路線が確定していたため、49ersの一員としては最後のゲームとなりました。

年末で帰省していた実家のテレビでこのゲームを観戦しましたが、ブレント・ジョーンズへのTDパスが決まった時に嬉しさのあまり一人でスタンディング・オベーションした事を今でも覚えています。当然ホームフィールド内も大盛り上がりで、その際に映し出されたヤングの面白くなさそうな表情も実に印象的でした。

ジョー・モンタナとトム・ブレイディ 真の「G.O.A.T.」はどっち…!?

さて近年で「G.O.A.T.」と言えば、もはや説明不要のニューイングランド・ペイトリオッツ不動のエースQBトム・ブレイディの名前が挙げられると思いますが、こちらの動画では真の「G.O.A.T.」はジョー・モンタナであると10の根拠をもとにプレゼンしています。

アダム・ヴィナティエリのような優秀なK(キッカー)の力を借りずスーパーボウルに勝っている、スーパーボウルでインターセプトを1個もされていない(第23回では投じたボールが守備バックの胸に入ったものの、ドロップしたためセーフになりましたが…)、スーパーボウルで倒した相手チームの先発QBの格(ケン・アンダーソン、ダン・マリーノ、ブーマー・アサイアソン、ジョン・エルウェイ)が違う、ボールの空気を抜いたりしていない…等々の検証を行っていますが、モンタナ信者としてはよくぞ言ってくれたという感じであります。

モンタナのスーパーボウルやプレイオフにおけるパフォーマンスの高さは、年末から1月にかけてバイオリズムが最高潮に達する事も起因しているように思います。対照的に、シーズン序盤でエンジンの「かかり」がよろしくないケースも結構見られましたからね。ブレイディについて言うと、秋が深まってから年末にかけて驚異的な成績を叩き出すものの年明けは息切れしてしまうせいか、ポストシーズンでのパフォーマンスがやや低調になってしまうのかも知れません。それでもスーパーボウルであれだけ勝ってしまうのは驚異的ですが…


実際に両者の雌雄を決する事は不可能なので、ここは「マッデン18」にモンタナを降臨させてシミュレーションしようと考える人も出てきました。

Source:Brady V.S Montana! Madden 18 Simulation on YouTube.com

 

49ersの面子はペイトリオッツ同様に現役選手がベースでありますが、やはりドワイト・クラークとジェリー・ライスそしてロニー・ロットもモンタナと抱き合せで降臨させているのがニクいです。ちなみに44番のFB(フルバック)はトム・ラスマンではなく、現役のカイル・ユースチェックであります。

NBAならばマイケル・ジョーダンとレブロン・ジェームズのどちらが凄いかという話題同様に、何だかんだ言ってモンタナとブレイディの比較も解決を見るのは難しいように思います(さしずめコービー・ブライアント=ペイトン・マニングと言ったトコロでしょうか)。

フットボールの神様に愛された男

最後に、以前スーパーボウルで放映されて話題にもなった「モンタナの聖痕」CMをどうぞ。

こんな「モンタナ・ランド」が実在していたら、筆者も間違いなく「巡礼」に馳せ参じるでしょう。世代が変わり先発QBが誰になっても、ファンの中でモンタナが「神」のような扱いであるのは変わりないという事を象徴しているCMですね。

学生時代は劇的な逆転勝利で全米王座に輝き、NFLでも出場した4回のスーパーボウル全てに勝利したジョー・モンタナは、まさしくフットボールの神様に愛されていたように思われます。時代と共にフットボールが色々と変化していく以上、トム・ブレイディのように能力や成績の面でモンタナを超える選手は今後も次々と現れる事でしょう。ただ、モンタナのように「神」がかった「マジック」を披露出来るかという話になるとなかなか難しいかも知れません。

それ程やる気の無かった高校生の筆者にフットボールをプレイする喜びを与えて下さった「神」の生誕を改めてお祝いしつつ、今回はこの辺りで失礼致します。




[了]



追記:去る2018年6月4日に「The Catch」のもう一人の主役であるドワイト・クラーク氏が筋萎縮性側索硬化症で亡くなりました。心よりご冥福をお祈り致します。



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