女子マネージャー論 – 本場アメリカのフットボールの場合

2016年8月4日
巷では、高校野球のグランドに女子マネージャーを入れるかどうかでちょっとした議論が起こっているようです。野球のベンチにあたるサイドラインで、女性スタッフが駆け回っている我々の業界では滑稽に思えてしまうのですが…

「女性マネージャー」の存在は日本の「部活動」固有の文化と思われる方も多いかも知れませんが、プロアマ問わずアメリカ本国のフットボールでもその姿を見かける事は珍しくありません。

アメリカで活躍する日本人トレーナー 磯有理子さん

こちらはピッツバーグ・スティーラーズで長年トレーナーを務め、2011年にはオレゴン州立大のヘッドトレーナーに就任した磯有理子さんを追ったドキュメントであります。スーパーボウルリングを2個所有しているという、どの日本のフットボール関係者よりも遥かに「豪」の人です。

人種や性別を超えて素直に「能力」を認めるアメリカの土壌は、やはり永遠の憧れですね。ただし、安全面という点で母親を始め女性からの風当たりが強い競技という特性ゆえ、封建的な雰囲気を排除して女性に開放されているイメージを競技団体がアピールしている戦略も見え隠れしない訳でもありません。そういえば、アメリカの野球のベンチでも女性を見かけないような気が…

ファイティング・スピリットを持ち続ける女性達。

ある意味日本フットボール界No.1レジェンドかも知れないベティ鈴木さんや女子クラブチームでプレーされている皆さんの例がありますが、興味を持っていても実際にプレーするのは女性にとって中々難しいのも事実であります。それでも何かしらの貢献をしてチームの一員として一緒に戦いたいという欲求の表れとして、スタッフ業に飛び込まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。女性スタッフにプレーをするならばどこのポジションが良い?と尋ねると「LBでガンガン当たりたい」というような声をしばしば耳にしますし…

先述の磯さんに関しても、負傷で自身のバスケットボール選手としての生命を断たれてしまった事がトレーナーの道を進むきっかけとなったそうです。若い選手達に自分のような思いをさせたくない気持ちに加え、まだ炎の消えていないファイティング・スピリットが磯さんを突き動かしてきたのではないかなーと個人的に想像しています。

ほぼ単性で種が存続しているミジンコを見ても分かるように、生物学的に所詮オスはメスの「オマケ」に過ぎませんからね。その「オマケ」が自己の存在価値を見出だすために作り出したのが政治や経済、そしてスポーツであるならば、自分達の「聖域」からオス以外のものを排除しようとするのは本能的な行動なのかも知れません。そう思うと、図体はデカくても本当「小っさ!」な存在ですよ、オトコってヤツは。



[了]

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