2016カレッジ注目選手 テキサス農工大アギーズ QB トレヴァー・ナイト

2016年9月5日
現地時間の9月3日に主要なランク校の緒戦が開催され、例年の事ではありますが早くも大番狂わせが続出する幕開けとなりました。その中で一人の選手にスポットを当てながら二試合を紹介させて頂きたいと思います。


テキサス農工大アギーズ vs カリフォルニア大ロサンゼルス校ブルーインズ

まずはシーズン前ランキング16位のUCLAことカリフォルニア大ロサンゼルス校ブルーインズを、延長の末にランキング圏外だったテキサス農工大アギーズが下したゲームのハイライトをどうぞ。

早くもエリートパサーの呼び声が高いUCLAのジョシュ・ローゼンがどえらいパスを通していますが、試合を決めたのは今季からテキサス農工大の先発QBとなったトレヴァー・ナイトの見事なオプションプレーからのTDランでした。


トレヴァー・ナイトのリスクを背負った決断。最終学年での転校。

ナイトは2013年にオクラホマ大スーナーズで先発に抜擢され、そのシーズン後のシュガーボウルであのアラバマ大にタコ勝ちする活躍を。翌2014年シーズンも先発を務めたものの、昨2015年シーズンは現エースであるベイカー・メイフィールドとのポジション争いに敗れて控えに甘んじていました。

最終学年を迎え一念発起したナイトは、テキサス農工大への転校を決意(大学の単位は全て修了しているため転校して即プレー可能)した次第であります。

ラッセル・ウィルソン(シアトル・シーホークス)が成功した例(ウィスコンシン大で四年生のみプレー、ローズボウル出場を果たす)はあるものの最終学年での転校、かつてチームに繁栄をもたらしたジョニー・マンゼル達が遺したモラルの低下という「負の遺産」を抱えていたテキサス農工大の選択など、かなり大きなリスクを負ってナイトがアクションした事も特筆させて頂きます。

選手としての最大の特長は、とにかくオプションプレーが上手い。日本のQB諸氏にも、お手本に看取り稽古をして頂けると幸いです。パスに関しては剛腕タイプと言い難いですが、クセのない投げ方で良いタイミングのボールを放っています。NFLの選手で言うならば、ユタ大時代のアレックス・スミス(カンザスシティ・チーフス)のような感じでしょうか。

Source:Trevor Knight Highlights 2013-2014 on YouTube.com

 

 

かなーりの余談ですが、歌手のケイティ・ペリーがナイトに一目惚れしたらしくメディアを通して告白した所、自分には既に彼女がいる事を知らせて公の場でケイティをフッたという武勇伝の持ち主でもあります。アーロン・ロジャース(グリーンベイ・パッカーズ)をさらに筋肉質にした感じのルックスは、一定の女性ファンを引き付ける要素が十分にあるのかも知れません。


オクラホマ大の2016年緒戦。 オクラホマ大スーナーズ vs ヒューストン大クーガーズ

さてナイトが去った後のオクラホマ大はというと、昨年のプレイオフ進出とQBベイカー・メイフィールド&RBサマジェ・ピーラインの存在があってかシーズン前ランキングでは堂々の3位!…だったのですが、同じく15位のヒューストン大クーガーズに足元をすくわれてしまいました。FG失敗からのリターンTD、いわゆる「Kick 6」を喰らったのが決定打だったように思います。

ラン&シュート攻撃でカレッジフットボール界を席巻した後はあまり名前が聞かれなかったヒューストン大ですが、近年はOLユニットと守備を整備して着実に力をつけ始めています。2016年正月のピーチボウルにてフロリダ州立大を下したのは、どうやらフロックではなかったようですね。

FBS120校あまりもあれば、様々なドラマがそこらじゅうで生まれるのは必然のような気がします。我々を勇気づけてくれる「人間万事塞翁が馬」を地で行くような選手たちの発掘を、Dr.FOOTBALLはこれからも取り組んでいきたいと思います。



[了]


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