WRデズ・ブライアントのTD取り消しから考える、フットボールにおけるネガティヴな印象を払拭する難しさについて

2015年1月21日
熱心なダラス・カウボーイズのファンならずとも、先日のディヴィジョナル・プレイオフにおけるWRデズ・ブライアントのTD取り消しに釈然としなかった方も多いのではないでしょうか。

デズ・ブライアントの落球?

Source:Dez Bryant’s Reversed Call Catch vs. Green Bay | LIVE 1-11-15 on YouTube.com(記事紹介画像、動画ともに)

 

 

捕球後にボールを確保して腕を伸ばしているのでTD成立のように見えるのですが…このジャッジは、明らかにデズに対するバイアス(偏見)が働いているように感じます。

デズのDBをセパレートする(引き離す)能力に関してはNFLでもトップクラスに入りますが、同時にドロップ(落球)が、特に致命的な場面で多いという印象も与えている選手でもありました。ここ最近は修正がなされてかなり捕球も安定してきたのですが、「肝心な所でドロップするヤツ」というバイアスが審判団の中には依然残っていたようです。同じ状況でも、ラリー・フィツジェラルド(カーディナルス)や「メガトロン」ことカルヴィン・ジョンソン(ライオンズ)ならばTD取り消しにならなかったのではないでしょうか。


マイナスイメージを持たれた者が闘うもう一つの敵。

落球に限らず、「インターセプトが多い→チキン野郎」「タックルミスが多い→同じくチキン野郎」「ファンブルが多い→自分本位」「よく反則する→精神的に未成熟」など…こうしたネガティヴな印象を払拭するのは、洋の東西を問わずフットボール選手にとって相当難儀な事です。


その理由として、他競技に比べてシーズンあたりの試合数が極端に少ない点にあると考えられます。それに従って分母となる総プレー数が少なくなるため、分子であるマズいプレーがよりクローズアップされるという訳です。デズの同僚であるQBトニー・ロモも「肝心な所でインターセプトされる」イメージがついて回りましたが、NFLでちゃんと統計を取ったところ第4Qでのインターセプト率が極端に低い事が明らかになりました。人間の心理に基づくこういった先入観は、対戦相手に匹敵するくらいの難敵だと思います。


今回のデズは残念でしたが、常に成長し続けている彼は確実にトップレシーバーの階段を上りつつあります。来季以降の巻き返しを個人的にも祈るばかりです。



【了】



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