The End of the Road  −夢のあと−

2014年7月7日
かつてインディアナポリス・コルツでペイトン一家のメンバーとして活躍したTEダラス・クラークが、先日引退を表明しました。この二年間はタンパベイ・バッカニアーズにボルティモア・レイヴンズと他チームでプレーしていましたが、功績のある選手の引退において恒例となってきた一日契約という形で古巣にて会見を開く事が出来ました。こちらがその時の模様になります。

 

今もコルツに在籍している盟友レジー・ウェインも見守っていたそうですが、ここまでの道のりを語って言葉を詰まらせている姿が印象的ですね。

シーズンの谷間となる夏に差し掛かったこの時期は、長年活躍したNFL選手の引退表明がやはり多くなるものです。僕が崇拝している現人神ジョー・モンタナの引退会見も、忘れもしない就職活動中だった夏の盛りに開かれた事を覚えています。その時の模様をどうぞ。

 

「夢から覚める時がきた」の名言で有名な会見でしたが、毎朝目覚めた時に「今日もまたフットボールをしなければならないのか」と感じるようになって引退を決意した…という後日談は、翌年からの某実業団でのプレーに胸を膨らませていた僕にとってかなり衝撃的なものでした。
レイ・ルイスやジョン・エルウェイのように現役最後のシーズンをスーパーボウル優勝で飾る超ラッキーな人達ほどではありませんが、人知れず去ってしまう人間が無数にいる業界において、このように会見を開く事が出来るのは幸せであると言って差し支えないと思います。
テキサス大時代での全米王者を看板にNFL入り後まもなく活躍したQBヴィンス・ヤングは、ドラフト指名されたテネシー・タイタンズ放出後にチームを転々とした結果、先日クリーヴランド・ブラウンズからの解雇を受けてひっそりと引退を表明しました。
ベテランだけでなく、「引退」という名の死神(?)は若い選手の肩も容赦なく叩くものです。昨年ルーキーながらグリーンベイ・パッカーズの地上戦の柱となったRBエディ・レイシーと共にドラフト指名された、UCLA出身のRBジョナサン・フランクリンは首の負傷で現役続行を断念せざるを得なくなりました。小柄ながらもガッツのある良い選手だったのですが…彼のプロ生活のハイライトとなった、シンシナティ・ベンガルズ戦での活躍をご覧下さい。

 

掲題の『The end of the road』は、かつて人気だったヴォーカルグループBOYZ㈼MENの代表曲として御存知の方も少なくないと思います。こちらは最近の動画のようですが、彼等の時間も刻々と経過しており"MEN"を通り越して"UNCLES"となった感も否めませんが…

 

この曲は恋人の別離をテーマにしていますが、恋人=フットボールに置き換えると今回のテーマにしっくりくるのではないでしょうか。選手としてプレーに専念して楽しむ事は、生活という現実をあまり感じなくてもよい恋愛体験に近いような気がします。お互いにエネルギーを出し切って終わった恋愛の後に友情が芽生えるかの如く、納得してヘルメットを置き「夢から覚めた」後には、生存競争や自己研鑽を考える事なく純粋にファンとしてフットボールを楽しめるようになるのかも知れません。
そして、上手くいかない現実と頻繁に向き合うコーチングや運営に従事するのは、すべてを覚悟したフットボールとの結婚という事になりそうですね…

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