No.1 フランチャイズQB アーロン・ロジャース

2014年12月5日
NFL最高の現役QBといえばペイトン・マニング、No.1スターQBならばトム・ブレイディ…という感じに皆さんの意見も落ち着く所ではないでしょうか。


No.1フランチャイズQBという話になれば色々意見が分かれるかも知れませんが、これに関してはグリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャースが群を抜いていると声高に主張したいと思います。


フランチャイズQB アーロン・ロジャース

「フランチャイズ」QBの定義は様々な見解があると思いますが、その絶対条件は「集客力」の高さを有している=ファンに「会いたい!」と感じさせる魅力がある事と考えています。

当然「集客力」を高めるためにはモッサい男性ファンだけでなく女性の、しかも幅広い年齢層からの支持は不可欠と言えるでしょう。


昨2013年シーズン途中に鎖骨を折ったにも関わらず、NFC北地区優勝を賭けた最終戦での復帰を予告するトレイラーの方をどうぞ。

Source:Aaron Rodgers Rises – Official Trailer on YouTube.com(画像・動画ともに)

 

映画仕立てのようになっていますが、本当に「絵になるヤツ」ですね。


それではパッズオフした素顔のアーロンも追っかけてみましょう。

海岸でギター…昭和の高度経済成長期における青春映画みたいにベタなシチュエーションでありますが、女性レポーターがうっとりしているのは火を見るより明らかです。さすが西海岸出身なだけはあります。



こちらは色々な事情を抱えた十代の子供達に、アーロンがいきなり会いに行く企画(こちらでは女の子たちのケースのみを紹介していますが、男子とも会ってキャッチボールとかしています)の模様になります。

Source:Aaron Rodgers surprises Annie and an entire neighborhood! – Full Story – itsAaron.com on YouTube.com

アーロンと分かった瞬間にティーンたちの目がハートに…人間は嬉しさ極まった時って、嬌声を上げるのではなく声が出なくなるものなのですね。


アーロンのいでたちに注目すると、決して洗練されているとは言い難い髪型(とある評論家から髪型にもっと気を遣えと指摘された事も…)に、無地のTシャツに普通のジーンズ、どちらかといえば「モッサい」部類に入ると思います。言うなれば「モッサかっこいい」という新しいカテゴリーの体言者とでも言いましょうか…


ここで日本代表の「モッサかっこいい」男、山崎まさよしさんのデビュー曲『中華料理』をどうぞ。以前ライブに行った時、女性客の皆さんがステージに投げかける熱視線でこちらまで火傷しそうでした。

Source:山崎まさよし / 中華料理 on YouTube.com

 

 

アーロン・ロジャースの魅力とパフォーマンスの源泉

アーロンの魅力を検証すると、ナイーブさを内包した彼の表情に女性ファンを惹きつける秘密があるように感じます。よく僕の母親がテレビに出演している男性タレントを見て「ああ、この子はモテるね。女性からすると何かしてあげたくなるような顔してるもん」と言っていた事を思い出しました。


以前アーロンはその人柄をして、"a sensitive guy"と評された事があります。


今一度"sensitive"の意味を辞書で確認してみると「傷つきやすい、繊細、デリケート、神経質、感じやすい、敏感な」といったネガティブなイメージ の言葉がずらりと並んでいます。


しかし一方で「感性豊か、感度がよい、思いやりのある」という訳も見つかりました。アーロンの"sensitive"はこの側面も持っているのではないかなーと個人的に思います。


通常セレブリティがこういった企画に参加する際「自分は特別だから君たちとは違うんだよね」オーラが充満するものです。上から目線で相手をコントロールしようとする意図が見え隠れする、いわゆる「同情」の気持ちです。


反面、アーロンの表情からはそういったものが感じられず、ティーンたちと同じ目線で気持ちを汲み取ろうとする「共感」を持って接しているように見えます。


では、何故アーロンが"sensitive"であるのか…それは彼がここまで歩んできたキャリアに注目すると、容易に理解出来ると思います。

Source:The Aaron Rodgers Story *Full Story* on YouTube.com

 

高校生だったアーロンにフットボール奨学金のオファーを出したのはお世辞にも強豪とは言い難いイリノイ大のみ。入学を熱望していたフロリダ州立大はおろか、その他の大学からの申し出は一切ありませんでした。


やむを得ずアーロンは地元のジュニアカレッジ(日本で言うところの短大)であるビュート・コミュニティ・カレッジ(私服でBUTTEの名前が入ったスウェットやキャップをを身につけている事もしばしば)に進学し、そこでフットボールをプレーする事を選択しました。


なかなか先行きが見えない不安な気持ちは、当時の貴重なインタビュー(上の動画1:45あたり)で見て取る事が出来ます。確かに"sensitive"な表情ですね…


ビュート・コミュニティ・カレッジでの活躍が認められ、学業面でも名門であるCALことカリフォルニア大への二年生からの編入が許される事となりました。


そこで先発QBの座を勝ち取り、三年生時には単独試合でのパス連続成功のNCAA記録を打ち立てたり、ゴールデンベアーズを全米ランキング四位までに導くなどの活躍を見せます。


余談ですが、まだ有名でなかったアーロンの二年生時の試合を生観戦出来ただけでなく握手までしてもらえたのは、僕の人生の中でトップクラスのラッキーな出来事でした。


大学三年終了時にNFLドラフトにエントリー、ユタ大QBアレックス・スミス(現カンザスシティ・チーフス)とトップ指名を争うのではないかと大方の専門筋は見ていました。


しかし蓋を開けてみるとトップ指名はスミスで、二位以降でもなかなか名前が読み上げられる事なく、ドラフト会議に招待された候補生が控える別室で不安気に待っているばかり(上の動画3:50あたり)でした。


一巡指名の終盤でやっと指名を敢行したのはグリーンベイ・パッカーズ…当時から既に生きる伝説であったブレット・ファーヴが先発を張るチームでした。


アーロンはプロ入り後の三年間は控えとしてベンチを温める事になりますが、ファーヴの(一回目の)引退表明後に先発指名されてからスーパーボウルMVPとなるまでの道のりに関しては御存知の方も多いはずだと思います。


キャリア当初から彼の頭の中に自分がスムーズに成功するストーリーが構築されていたかというと、決してそういう訳でなかったように感じます。目の前に現れるひとつひとつのハードルを越えた結果、気がついたら頂点に辿り着いたのではないでしょうか。




辛い経験を幾度も味わった事で他者の気持ちを汲み取る力を身につけたアーロン。
素直に相手の気持ちを受け止めてそれに応えられる…そりゃあモテるでしょう。


それに呼応して、守備の状況を正確に把握してそれに応じてパスを投げ分けられる…そりゃあインターセプトも少ないでしょう。


アーロンの高いパフォーマンスの源泉がここにあるのかも知れません。

Sensitive(センシティブ)とは…?

ここで"sensitive"と同義の日本語は何かなーと考えを巡らせてみると、古典でよく用いられる「色ごのみ」にたどり着きました。"a sensitive guy"=「色男」という事になりそうです。


「色ごのみ」というと、好色漢=スケベみたいなイメージを持たれる方が多いと思いますが、本来は「恋愛の情趣を理解する人、風流な人」という意味を持っているようです。


これから考えると「色男」とは、他者の心の微妙な変化を捉えられる人であると解釈出来るような気がします。色メガネで見ていないから、相手を素直に受け入れて、それに応えられる訳ですよね。


この「色ごのみ」を象徴した代表的人物として、平安時代に成立した歌物語『伊勢物語』の主人公のモデルで六歌仙のひとりでもある在原業平(ありわらのなりひら)が挙げられます。


この人も老若男女に関係なく、とにかくモテモテだったそうです。宮中の出世競争から外れてなかなか官位が上がらず大変苦労した点でも、何かアーロンと通ずるものを感じます。




男性ならばその名を知らない人はいない名男優の加藤鷹さんもかなり気配りをされる方らしく、そういった意味で現代の「色ごのみ」に挙げられるように思われます。
冷え切った夫婦仲をどうにかしたいというお悩み相談に「何かにつけて奥さんに『ありがとう』と感謝の気持ちを表す所からまずは始めて下さい」と回答され、シチュエーションを盛り上げる等の小細工なんて大して役に立たないとおっしゃっていた事に大変感銘を受けました。本質的な部分を捉えるあたりは、流石その道で一流の方だけありますね。




世間では男性的あるいは女性的な魅力の指標としてフェロモンがよく語られます。そのフェロモンの正体は人体から発せられる化学物質と一般的に言われますが、相手を大切に思う事を反映させた表情や行動が作り出すイメージが「フェロモン」というものを創出させているのではないかなーというのが僕の見解です。先ほどから話題に上っている「色」=「フェロモン」とでも言いましょうか。
女性の表情が曇っているのは男性の表情が曇っているから、女性の心が汚れているとしたら男性がそれを汚しているから…という話もどこかで聞いた事があります。やはり男性の心掛けと振る舞い次第というわけですね。


目の曇りを拭ってみると色々なものに気付いて、素直で大らかな気持ちでそれらに応えられるのかも知れません。疑いの気持ちでそれらに応えず全てが終わってしまったならば、喪失感と後悔はハンパではありませんからね…




話題になってからかなり遅れますが、越谷オサムさん作『陽だまりの彼女』(新潮社文庫)と辻村深月さん作『スロウハイツの神様』(上下巻 講談社文庫)の二本の小説に触れる機会がありました。


キャラクターの違いはあるものの、かなり長い間一途に相手を想い続けるヒロインが両作に共通して登場します。その対象である男性達は彼女達の気持ちに不器用ながらも行動で応えるだけでなく、相手の全てを許そうとする姿に「色好み」の精神を感じ取れました。


某少年誌のスローガンではありませんが、「洞察」「実践」「許容」の三本柱を我々男性が今一度意識すれば、カサカサした日常も潤いのあるものになるかも知れません。




男性の「洞察」と「許容」がテーマとなっているエクストリームの(唯一の)名曲『More Than Words』をどうぞ。わざわざ"I love you. "なんて言わなくても態度で示してくれれば分かるよ、という内容です。

ギタリストであるヌーノ・ベッテンコートとMr.BIGのポール・ギルバートの競演はかなり豪勢ですね。ファン(特に日本の)を大切にする事で有名なポールも紛れなく「色男」であると言えます。


日本国憲法で規定されている「普通教育を受けさせる」「勤労」「納税」に加えて「一途に想う女子の気持ちに応える」を国民(男子)の四大義務とすれば、小手先の行政とは比べものにならない抜本的な少子化対策になるのではないか…と考える年の瀬であります。



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