スーパーボウルでのショートパスによるTD史①  49回スーパーボウル。シーホークス攻撃最終プレーの背景 vol.2

2015年2月17日

ゴール前での ”ショートパス” という選択肢の誕生。

第49回スーパーボウルのシアトル・シーホークスの最終プレーで「何故あそこでパスを選択したの?」という声が、ニューイングランド・ペイトリオッツDBマルコム・バトラーがインターセプトした直後からにわかに上がっているのは皆さん御存知の所と思います。


かつてはNFLといえどもゴール前で選択するのはランプレー、もしくはプレーアクションパスというのが定石でありました。その概念に変化を与えた汽水域的な位置付けとなるのが、こちらのセントルイス・ラムズとテネシー・タイタンズによる第34回大会ではないかなと個人的に思います。


0:55頃に出てくる、ラムズQBカート・ワーナーがWRトリィ・ホルトへ決めたスラント(斜め内側に入るコース)パターンのTDパスがまさに象徴的なプレーです。「カートさん、球速ぇえよ!」と言わんばかりに両手とフェイスマスクの三点でキャッチした所から、当時ルーキーだったホルトの必死さもかなり伝わりますよね。


Source:Super Bowl XXXIV Rams v Titans on YouTube.com

 

 

このプレーでのタイタンズ守備に注目すると、二線目を守っているDBもランプレーあるいはQBを潰しに行くために思い切り前に突っ込んでいる事がよく分かります。その空いたスペースにホルトが走り込み、アリーナフットボール仕込みのクイックテリバリーでカートがパスをねじ込んだ…というのが概容です。


このプレーがフットボール業界に「ゴール前でタイミングの早いパスはかなり有効なんだね」という概念の種を蒔き、そして近年の戦術決定へ影響を及ぼしているのかも知れません。


対照的にタイタンズが獲得した全てのTDは絶対エースであったRBエディ・ジョージによるゴリゴリのランであり、加えてフットボール史に残るタイタンズのゴール前での最終プレーはスラントのパスであった事も述べておきます。



【了】

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