2018年NFLドラフト WR(ワイドレシーバー)特集

2018年4月16日
今回の2018年NFLドラフト注目選手は、フットボールという競技の「華」の部分を担当するWR(ワイドレシーバー)のカテゴリーになります。各メディアでも取り上げられている選手をDr.FOOTBALLなりに分析してみました。今回もお付き合いの程を何卒よろしくお願い致します。


テキサス農工大アギーズ クリスチャン・カーク

今年のドラフト候補生において決して「ハズレ」にならない選手で、非常に安定したボディバランスが最大の特長です。リリースとキャッチの技術は勿論、コンタクトへの耐性もかなり高いです。さらに守備との位置関係を把握してパスを通せるスペースを確保しながらルートを走る事が出来るという、QB(クォーターバック)にとっては非常にありがたい存在であります。キックオフリターンにおいてエンドゾーンまで持って行ってしまうスプリント能力を有し、キッキングゲームでの汎用性の高さもセールスポイントに挙げられるでしょう。かなりの余談ですが、素顔は山本太郎議員っぽい感じです。



アラバマ大クリムゾンタイド カルヴィン・リドリー

続きまして、評論筋では最も評価の高いアラバマ大クリムゾンタイドのカルヴィン・リドリー。
何かが超人的に凄いという訳でもなく「普通に」上手い感じのリドリーですが、一緒にプレイした都合三人のQB全員にとってここぞという時のターゲットになり得た「調整力」の高さは特筆ものだと思います。これは、先発QBが様々な理由でコロコロ変わってしまいがちなNFLでプレイするために大きな助けとなるでしょう。ちなみに弟のライリーはジョージア大フットボール部に所属しており、同じくWRのポジションでプレイしています。



メリーランド大テラピンズ D.J. モーア

メリーランド大テラピンズよりD.J. モーア(日本の一般表記では『Moore=ムーア』となりがちですが、現地の発音に即して表記しました)。
フィジカルぐいぐいマッチョ系の選手です。近年の攻撃ではWRのスクリーンが多用されるため、キャッチ後の力強さ&ぶっちぎるスプリント能力に関してはNFLでも通用するように思われます。かつてアリゾナ・カーディナルズで活躍したマッチョ系WRデイヴィッド・ボストンが、フットボール選手的ではない身体の「デカさ」を追求してしまい晩年を尻すぼみにさせてしまった例もあるため、トレーニングの方向性にはくれぐれも注意して欲しいと感じます。



ルイジアナ州立大タイガース D.J. チャーク

さらにD.J. が続きましてLSUことルイジアナ州立大タイガースよりD.J. チャーク。
スプリント能力とアジリティに関しては一級品で、こちらの動画でも確認出来るパントリターンTDは圧巻であります。持ち前の体格の良さと運動能力に頼ってプレイする傾向があるため、NFLに進む上ではリリースの技術をさらに磨いた方が良いような気がします。



サザンメソジスト大マスタングス コートランド・サットン

古豪SMUことサザンメソジスト大マスタングスよりコートランド・サットン。
身体が大きくキャッチや動きも安定はしていますが、トップWRに値するスピードやアジリティが不足している感は否めません。少し素早いTEといった感覚で、中央付近のゾーンの切れ間を狙っていくスロットレシーバーとしての起用によって活躍の場を見出せるような気がします。



ノートルダム大ファイティングアイリッシュ エクアニミアス・セントブラウン

現地の実況の方も“Equanimeous”を読むのが面倒くさいのか、TDの後でも名字の”St. Brown“のみで呼んでいるケースが殆どです。ゾーン守備の隙間をぬって走るクロス系のルートが得意な選手で、その点でいえば不世出のレジェンドであるジェリー・ライスに近いタイプと言えるかも知れません。ニューイングランド・ペイトリオッツのように同様なパスルートを採用しているチームならば活きるタイプですが、守備を縦にストレッチする役割を課せられると結構シンドい気がします。一発でボールを止められない場合が見られるため、キャッチの方もそこそこといった感じです。



オクラホマ州立大カウボーイズ ジェイムズ・ワシントン

カレッジで最も優秀なWRに贈られるフレッド・ビレトニコフ賞の2017年受賞者であります。最初に紹介したクリスチャン・カークに近いタイプで挙動が安定しており、守備バックに密着カバーされても自分のプレイを崩さない強さを持ち合わせています。先日ダラス・カウボーイズから契約解除されてしまった大学の先輩デズ・ブライアント同様、キャッチ後に守備選手を引き離す能力も出色。ひょっとするとカウボーイズは後釜として触手を伸ばすかも知れません



ワシントン大ハスキーズよりダンテ・ペティス

最大の特長は何と言ってもNCAA記録となる通算9TDを奪ったパントリターン能力です。その点においては、彼がNFLで確実に活躍出来るはずだと個人的に思っています。スクリメージプレイにおいても、ファンタジスタ系QBジェイク・ブラウニングの「恋女房」としてワシントン大のハイパー攻撃を支えてきました。キャッチとリリースに関して非凡なものが見られますが、御覧の通り「スキニー」であるためフィジカルマッチョなCB(コーナーバック)に密着カバーされた際(しかもNFLのCBはインターフェアランス上等でアタックしますからね…)に若干不安が残るトコロです。



番外編:ルイヴィル大カーディナルズ  エースQB ラマー・ジャクソン

それなりに良い選手が揃っているのですが「もうちょいインパクトのある選手いないかなぁ~」と思っていたら、フッと彼の顔が頭をよぎりました。

Source : Lamar Jackson – Junior Highlights (2017) on YouTube.com

 

 

そう、2016年ハイズマン受賞者でお馴染みルイヴィル大カーディナルズのエースQB「スーパースター」ことラマー・ジャクソンであります。以前こちらで紹介させて頂いた時に「ランディ・モスがQBやってるみたい」と冗談めかして言っていましたが、本格的にWRをプレイさせたらランディ・モスくらいの選手になる可能性は決して低くないように感じます。

■参考ページ:ランディ・モスがQBをプレイしているよう!
【Dr.FOOTBALL】「スーパースター」ラマー・ジャクソン。シーズン3週目で18TDを獲得! 2016年9月21日

 

 

基本的なアスリートとしての「素材」に関しては上記の彼等を完全に凌駕していますし、QBの経験で培った攻撃のプレイや相手守備への理解力に、フットボールをあんなにブンブン投げられる握力はWRをプレイする上で必ずや活かせるだろうと思います。

素人の僕ですら考えている事なので、恐らくジャクソンの「改造計画」を企図しているNFLチームの首脳陣(ビル・ベリチックとか…)は少なくないのではないでしょうか。最終的に「隠れた」逸材が見つかってスッキリしました。


[了]

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