ファンタジスタ、ジョニー・マンゼルがCFLでプロフットボール界に復帰

2018年5月27日
フットボール界を席巻したあの「ファンタジスタ」がプロフットボールの世界に戻って参ります。

「ジョニー・フットボール」の愛称でお馴染みジョニー・マンゼルが、長い「浪人」生活の末に先日CFL(カナディアン・フットボール・リーグ)所属のハミルトン・タイガーキャッツと控えQB(クォーターバック)待遇で2年契約を結びました。タイガーキャッツのトレーニングキャンプにマンゼルが参加した模様をまずはどうぞ。

こちらの報道でも取り上げられていますが、ウォーレン・ムーン、ダグ・フルーティー、ジェフ・ガルシア、キャメロン・ウェイク等のNFLへのステップアップを成功させた先達に続くかどうかという興味が湧くのも無理はないでしょう。




マンゼルの名前を聞くと「アルコール依存や暴力沙汰でドロップバックならぬドロップアウトした奴でしょ」と多くの方が思われるかも知れませんが、彼は確実にプロ選手への復帰のプロセスを踏んでいました。

まずはサンディエゴ大でのプロ・デイに参加させて貰った時の様子をどうぞ。ちなみに現在ミシガン大を率いるジム・ハーボーが初めてHC(ヘッドコーチ)職を務めたのがこちらのサンディエゴ大で、ハーボー自らパッズオンして練習に加わっていたという逸話は有名です。

次は母校テキサス農工大でのプロ・デイの模様になります。

ノーパッドのワークアウトだけでなくフルパッドでの実戦パフォーマンスも披露すべく、プロ選手発掘の場であるスプリング・リーグにもマンゼルは参加しました。

Source:Johnny Manziel Spring League Game 1 on YouTube.com

 

 

QBサックを受けてボールをポロリしてしまうというお粗末なプレイが見られたものの、急造の攻撃メンバーでかつての「ファンタジスタ」ぶりを垣間見せているのは逆にアッパレであります。

このスプリング・リーグ閉幕時のインタビューですが、ボールを投げて自ら走り守備選手に叩きつけられる実戦の喜びを久々に噛みしめているせいか、マンゼルの瞳がキラキラ輝いているように感じました。

ではマンゼルと契約を交わしたハミルトン・タイガーキャッツとはどんなチームでしょうか。昨2017年シーズンのゲームをチラッと覗いてみましょう。

虎なのか猫なのかハッキリせえよと突っ込みたくなるニックネームですが、かつてハミルトンの地にタイガースとワイルドキャッツという二つのチームが存在していたとの事。その両チームが合併したため現在の呼称になったそうです。日本国内でいうとJリーグの横浜Fマリノスと似たような感じですね。

昨シーズンのタイガーキャッツの戦績はというと6勝12敗と大きく負け越し。マンゼルがもたらす「ケミストリー」をタイガーキャッツは期待している事と思われますが、かつてのカレッジ・フットボールのヒーローかつ元NFL選手と言えどもチームにフィットしなければスパッと解雇されるシビアな「掟」はCFLにも存在します。トレーニングキャンプの模様を見てもマンゼルを含めてQBが5人ほど練習に参加していますが、この中から2人が契約解除されるのは確実。複数年契約を交わしたとはいえ、マンゼルの戦いは既に始まっていると言って良いでしょう。





以前より、マンゼルの卓越したフットボールセンスを埋めてしまうのは実に勿体ないと個人的に感じていました。

彼の人格的問題を指摘する声も聞こえますが、チヤホヤして甘やかしてしまった周囲の「大人達」の責任も小さくはなく、それを棚に上げて彼の再起をとやかく言うのはフェアで無いように思います。転んでも再び立ち上がるタフネスを養うのが、フットボールという競技が持つ特長のひとつという事を忘れてはなりません。

華々しいステージに立ってスポットを浴びていた彼が虚栄心を捨て、純粋にフットボールが出来る環境を選んだ事については大いに評価すべきであります。ちょっと前にマンゼルが吐露した「無給でも良いからフットボールがしたいです…(『SLAM DUNK』の三井寿調で)」の言葉、そして先述のインタビューでの瞳の輝きに嘘偽りはないはず。その真摯な姿勢をいつまでも大切に、まずはCFLでの今シーズンを全うして頂きたいものです。

「ジョニー・フットボール」がかつての、否それ以上の輝きを発する事を願いつつ、学生時代のハイライトで今回は締め括りたいと思います。

[了]

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