王者デンヴァー・ブロンコス 先発QBの行方と命運を握るジョン・エルウェイGM 【2016ドラフト】

2016年3月29日
生ける伝説ペイトン・マニングの引退&新進気鋭ブロック・オスワイラーのFA流失により先発QB急募中となってしまった王者デンヴァー・ブロンコスですが、個人的には再びチームの顔となったジョン・エルウェイGMの存在がネックになっているような気がします。最近の強権発言や恰幅(かっぷく)が良くなってきた姿から、もはや毛沢東かスターリンに見えなくもないような…


ジョン・エルウェイGMのプレッシャーに耐えられる人材を。

金額的に良い条件を提示されたにも関わらずブロンコスを去ってしまったオスワイラーのヒューストン・テキサンズ入団会見では、エルウェイGM…いや主席のプレッシャーから逃れたかった本音がチラチラ見え隠れして仕方ありませんでした。ブロンコスに今季より加入するNFLの郷ひろみことマーク・サンチェスも拾って貰えて有り難い反面、戦々恐々なのではないでしょうか。

皆さんも御察しの通り、新時代の橋渡し役としてサンチェスを獲得したブロンコスゆえ、今年のドラフトでのQB指名はかなり重要項目となります。ジョー・モンタナのようにセンシティブな雰囲気のジャレッド・ゴフ(カリフォルニア大)や、若い頃のロバート・デ・ニーロ然のルックスを有するコナー・クック(ミシガン州立大)達のような正統派イケメンでは、エルウェイ主席の下でぶっ潰れてしまう画しか想像出来ません。


ペンシルヴァニア州立大ニタニーライオンズ クリスチャン・ハッケンバーグの面構え

そこで主席のプレッシャーに耐えられそうな人材を…と見渡してみると、こちらのPenn Stateことペンシルヴァニア州立大ニタニーライオンズでエースQBを務めていたクリスチャン・ハッケンバーグを「発見」しました。まずは、目下Big Ten最強を誇るミシガン州立大スパルタンズとの2015年のゲームハイライトを御覧下さい。

NFLでも活躍したパイセンであるケリー・コリンズのそれを大きく上回る、TDパス数の同大記録をこのゲームで樹立したそうです。全米クラスで強力なミシガン州立大DB陣とミスマッチ感が否めないパスユニットながら、恐らくオーディブルで決めた06:40辺りのTDパスを始め健闘している姿が見られます。

Source:Christian Hackenberg vs Michigan State 2015 on YouTube.com

 

 

こちらはNFLのスカウトを自分の学校に招いて練習を見てもらうプロ・デイの様子になります。

そのプレーぶりはまさに「フツー」です。アンドリュー・ラックのように80ヤード弾をエンドゾーンに撃ち込める訳がなく、またジョニー・マンゼルのような牛若丸フットワークを披露出来る訳でもないので、彼等のようなファンタジスタ的活躍をハッケンバーグに求めるのは酷というものであります。

Source:PSU Pro Day – QB Christian Hackenberg on YouTube.com

 

 

では、彼がエルウェイ政権下でもやっていけると思う根拠は何なのでしょうか?それは、その田舎臭い…もとい忍耐強そうな面構えをしているというDr.FOOTBALL人相学に基づいた考察があるからです。どんなにエルウェイ主席からイヤな事を言われても「さーせん!」「したっ!」とだけ返して黙々とやる、昨今の日本の体育会系学生でも見られないような雰囲気…これが先述のイケメン達と大きく水を開けるポイントですね、ブロンコスでプレーするという状況に関しては。

基本的なプレー自体は「フツー」に出来ているので、ゲイリー・キュービアクHCが標榜するプレーアクションパスを中心とした攻撃スキームに無理なくフィットするようにも思われます。線が太く怪我に強そうな頭蓋骨をしている所など、若き日のエルウェイ主席とも重ねられるといえば重ねられるかも知れません。

ジョン・エルウェイ伝説

今度はジョン・エルウェイという人物に焦点を当ててみましょう。こちらは今でも語り草となっている1986年シーズンのAFC決勝戦ですが、自分ひとりで状況を打開出来るアスリートであった事をご理解頂けると思います。

学業的にも優秀なスタンフォード大出身、フットボールと野球(日米学生野球ではバッティングが不調で「金髪の大型扇風機」と揶揄されたそうですが…)の両方からプロのドラフト指名を受け、ビジネス面でも自動車販売とステーキハウス経営で成功…要は何でも出来るスーパーマンなんですよね。

そんな感じで若い時分から怖いものなしだったので、

○ボルティモア・コルツ(当時)からドラフト全体1位指名を受けたものの「こんなチームじゃ勝てねーよ!メジャーリーグの方に行っちゃおうかなー」とのたまわり、デンヴァー・ブロンコスとのトレードを成立させてしまった

 

○スーパーボウルを制した大先輩であるテリー・ブラッドショーが、なかなかスーパーボウルで勝てないエルウェイへ苦言を呈した時に「彼は僕のマネーとヘアー(ブラッドショーは頭部がツルピカ…)に嫉妬しているのサ」と公の場で反撃

 

○ブロンコスHCのダン・リーヴスと年を経る毎にソリが合わなくなり、ついにリーヴスの方を更迭する方針をチームに選択させる

 

 

…などなど、とかく「武勇伝」の多い方であります。

何でも出来る故に、自分の周りに対して要求するものが非常に高くなるのも無理はないのかも知れません。日本の歴史で言うならば、織田信長と豊臣秀吉をフュージョンさせたような感じでしょうか。

後継に恵まれなかった信長や秀吉の例ではありませんが、出来過ぎる人の下では皆ビビりながら仕事をしているので人が育ちにくいようにも思えます。エルウェイGMもそのパターンにハマらないかと心配になってきました。

同時期にしのぎを削った偉大なQBであるジョー・モンタナ、フィル・シムズ、そしてジョン・エルウェイ。スーパーボウルを制してMVPを獲得、プロフットボールの殿堂入りを果たした事に加えて、三人ともそれぞれの息子が警察のお世話になってしまったという…人を育てるって本当に難しいですね。





[了]

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