2016年 NFLドラフトで指名されなかった選手とその進路。ヴァーノン・アダムス・ジュニア

2016年6月8日
今回はNFLドラフトで惜しくも指名されなかった選手と、その進路にスポットを当てていきたいと思います。

オレゴン大で先発QBの座についた、ヴァーノン・アダムス・ジュニア。

Source:Oregon QB Vernon Adams 2015 Highlights on YouTube.com

 

 

彼の名前はヴァーノン・アダムス・ジュニア。大学三年生までFCS(*)所属の東ワシントン大でプレーした後、四年生時にPAC-12のお馴染みオレゴン大へ転校、マーカス・マリオタの喪失で危ぶまれたチームを先発QBとして7勝3敗まで導きました。
この時点でもかなりのシンデレラ・ストーリーなのですが、アダムスはさらに上を目指します。もちろんそれはNFLへの挑戦ですが、ドラフトでは指名されず、トライアウト扱いでシアトル・シーホークスやワシントン・レッドスキンズのミニキャンプに参加するも契約に至らず…プロへの道が閉ざされたかのように見えました。

そこで手をさしのべたのがCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)のモントリオール・アルエッツ。他のCFLチームがアダムスとの交渉権を持っていたのですが、アルエッツが将来のCFLドラフト指名権と引き換えにその権利をトレード、この厚遇を受けてアダムスは俄然やる気満々との事です。

アダムスがプレーするCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)って…?

アダムスがプレーする予定のCFLはDr.FOOTBALLでも度々取り上げておりますが、日本におけるメディア露出が少ない事もあって、フットボール関係者の中ですら認知度がなかなか上がらないのは口惜しい限りです。個人的には結構面白いと思うのですが…


①フィールドに入る選手は12人
②三回で攻守交代
③縦横無尽に複数の選手がマン・イン・モーション可能
(最近はここからゾーンリードをかましてしまうので守備はとても大変です)
④フィールドがとにかく広い
(ゴールライン間が110ヤード、横幅65ヤード、エンドゾーンの奥行き20ヤード)


そのほか細かい違いはありますが、防具をつけてピーナッツ型のボールを使い、当たって投げて捕って走るのは全く同じです。
アダムスのようにNCAA強豪校で活躍したり、NFLでのプレー経験がある選手も多く在籍しているので、個人のプレーに関しては決して侮れないどころか日本のトップリーグを遥かに凌駕するレベルであると確実に言えます。

CFLの優勝決定戦。カナディアンとアメリカン。

そのCFLの優勝決定戦は、カナダ初代総督にちなんでグレイカップと命名されています。オタワ・レッドブラックスとエドモントン・エスキモーズによる2015年の熱戦をお時間のある方はフルゲームで、そうでない方はかい摘まんでどうぞ。(決してアトランタ・ファルコンズとグリーンベイ・パッカーズの海賊版ではありません…)
カナディアンラグビーの大会からカウントしていますが、グレイカップはスーパーボウルの倍以上の開催回数を誇る由緒正しきチャンピオンシップゲームであります。この点からも、カナディアンはアメリカンとは独自の進化を遂げた「別種」と言っても良いでしょう。それ故に12人という選手数は、アメリカンの11人に1人足したのではなく、ラグビーの15人から3人減ったと考える方が妥当のように思います。

こちらのゲームで活躍しているレッドブラックスの40才ベテランQBヘンリー・バリスは、シカゴ・ベアーズでのプレー経験がある選手です。NFLではパッとしなかったバリスですが、ここCFLでは数々のパスに関する記録を持つ「生ける伝説」と化しています。

アダムスとバリスの共通点は身長が180cmそこそこ。NFLのQBとしては寸足らずの部類に入れられてしまいますが、CFLにおいては特に問題視される事なく、純粋に投げて走れる能力が評価されています。

スキルの格差がまだまだ大きい事は否めませんが、サイズで「足切り」されないという点において日本人がチャレンジすると面白くなるかも知れません。
そんな挑戦者達が日本から登場する事を期待しつつ、Dr.FOOTBALLでは引き続きCFLをぼちぼち追って参ります。



[了]

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