CFP王座決定戦 アラバマ大クリムゾンタイド vs クレムソン大タイガーズ (2016年1月11日開催)

2016年1月26日
満を持してCFP王座決定戦の登場であります。アラバマ大クリムゾンタイドとクレムソン大タイガーズの熱戦を是非フルゲームでどうぞ。しかし、アラバマ大のヘルメットの色を見るとDr.ペッパーをしきりに飲みたくなるのは僕だけでしょうか?そして、スタンドで応援しているキレイな女性を余すことなくフレームにおさめるTVクルーの腕前にも毎度脱帽させられるばかりです。

HCダボ・スィーニーが作り上げた「クレムソン大タイガーズ」のストロングポイント

クレムソン大HCダボ・スィーニーは実に強いチームを作り上げたという事を、改めてこのゲームから実感出来ました。放映の中でも紹介されますが、スィーニーHCがアラバマ大でWRとしてプレーしていたという因縁もゲームを盛り上げる演出のひとつになっています。

以前紹介させて頂いたエースQBデショーン・ワトソンですが、走りの上手さは勿論、投げる方でもその輝きを見せつけてくれました。タイミング通りに放るだけでなく、プロテクションが崩れてからもパスを決める能力は攻撃の窮地を何度も救っています。フィールド上だけでなく、サイドラインでの佇まいも実に絵になる男です。

クレムソン大がここまで好成績を挙げられたのは守備による所も大きく、シャック・ローソンとケヴィン・ドッドの両DEがこのゲームでも大暴れしています。この二人は今年のNFLドラフトで一巡指名が確実視されているのでチェックをお忘れなく。しかしQBとしては、この二人がいるスクリメージには入りたくないですね…

ニック・セイバンHCが築く王朝 「アラバマ大クリムゾンタイド」

かたやアラバマ大ですが、カレッジフットボール界のヒューイ・ルイスことニック・セイバンHCが「王朝」を築き上げつつあるように思われます。結構落ち着いたイメージの方ですが、自身の専門分野だけにDBのミスにはかなりうるさいようで、クロスパターンに巻き込まれてWRをフリーにしてしまった自軍のDBへ執拗にカミナリを落としていたのは印象的でした。このように普段の躾がしっかり行き届いているため、DB陣のボールキャリアーへのアタックはクレムソン大に劣らずかなり鋭いものがあります。

やはり2015年ハイズマン受賞者であるエースRBデリック・ヘンリーは、期待に違わぬ仕事っぷりでした。かつてニューヨーク・ジャイアンンツで活躍したブランドン・ジェイコブスのようなタイプでしょうか、デカいだけでなく相当のアジリティにダッシュとスプリントの能力を持ち合わせている事がよく分かります。パスプロテクションをサボってないのもGood。

デンヴァー・ブロンコスのジョン・エルウェイ副社長を田舎っぺ…もといカントリーテイストにした感じの、先発QBジェイク・コーカーも注目の選手です。

コーカーはフロリダ州立大からカレッジフットボールのキャリアをスタートしたのですが、E.J. マニュエルやジェイミス・ウィンストンが在籍していたため試合出場がままならず、活躍の場を求めてアラバマ大にやってきました。転校後の2014年シーズンはポジション争いに敗れ大半をサイドラインで過ごす事になりましたが、2015年シーズンはレーン・キフィン攻撃コーディネーターの戦術にハマったようで先発に抜擢、そのような経緯でコーカーはこの晴れ舞台に立ちました。

クレムソン大のローソン&ドットによる激しいパスラッシュの雨あられにメゲずによく投げていますが、パスラッシュが激しくなるとWRのシャローパターンやTEのフラットパターンはかなり有効になる事もこのゲームで再認識させられました。

今回の「What We Learned」 戦術のトレンドはカレッジフットボールから

今回の"What we learned"は「戦術のトレンドはカレッジフットボールから」です。先述もしましたが、守備のアタックが激しくなるほどアラバマ大の採用しているウエストコースト攻撃は効果を増してきます。アラバマ大の戦術をパクる…もとい手本にする学校が来シーズン以降たくさん現れるだけでなく、いずれNFLの戦術にも影響を与える事でしょう。結局大学生をプロに入れる訳なので、彼等が慣れているシステムを採用した方が効率は良いですからね。また、カレッジでノウハウを確立したコーチがNFLにステージを移すケースを皆さんも御存知である事と思います。これらの点によって、NFLはカレッジの戦術に追随せざるを得ない宿命なのかも知れません。

現場でフットボールにたずさわる皆さんには、アイデアの正倉院であるカレッジフットボールを今後もチェックして頂けると幸いに思います。



[了]


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