NFL先発QBにおけるミシガン州立大スパルタンズ卒業生の奮闘② ドリュー・スタントン(アリゾナ・カーディナルス)

2014年10月16日
今回紹介させて頂くミシガン州立大スパルタンズ卒業生は、アリゾナ・カーディナルスの先発QBカーソン・パーマーの負傷を受けてリリーフを任されたドリュー・スタントンになります。

まずは彼の学生時代の活躍から、35点差をひっくり返したノースウエスタン大ワイルドキャッツとの2006年の試合をどうぞ。

Source:Michigan State vs. Northwestern 2006 (Big Comeback)  (動画・画面キャプチャともに)

 

ドリュー・スタントン NFLでの経歴

NFLデビューはデトロイト・ライオンズで、そこでの先発出場は数える程しかありませんでした。その後に契約したインディアナポリス・コルツでも控え扱いでしたが、この時に現在の上司であるブルース・エリアンズ(当時は攻撃コーディネーター)と出会う事になります。

コルツ再生の功績が認められたエリアンズがカーディナルスにHCとして招聘された時に、勝手知ったるスタントンも加入させたというのが今日までの経緯のようです。

地味ながらも無理をしないスタントンの貢献でカーディナルスは勝ち星を稼いでいますが、負傷から回復すればパーマーを先発に戻すとエリアンズHCは明言しています。スタントンもそれは承知の上で、控えQBとしてどう振る舞えば良いかをよく心得ているようです。その点にも触れているコルツ時代のインタビューをどうぞ。

2007年組QB "The Last Man Standing"

こちらは、2007年のドラフト指名選手達によるトレーディングカードの撮影会にルーキーのスタントンが参加した時の模様です。初々しいというより、もっさい兄ちゃんといった感じでしょうか…
ちなみにこの撮影会に参加した他のドラフト指名選手に注目してみると、


 ・エイドリアン・ピーターソン(ヴァイキングス)
 ・カルヴィン・ジョンソン(ライオンズ)
 ・ジョー・トーマス(ブラウンズ)
 ・マーショーン・リンチ(当時ビルズ、現シーホークス)
 ・ドゥェイン・ボウ(チーフス)
 ・パトリック・ウィリス(49ers)
 ・グレッグ・オルセン(当時ベアーズ、現パンサーズ)
 ・テッド・ギン Jr.(当時ドルフィンズ、現カーディナルス)


今もなおNFLの中核を担う凄い面子揃いです。2007年ドラフトは豊作でしたねーと言いたい所ですが、QBのポジションに目を移してみると…

NFL史上に残るバスト(大はずれ)とまで言われたジャマーカス・ラッセルですが、レイダースを追われた後はどのチームとも契約出来ず現在に至っています。学生時代の彼はロケットみたいな球を放っていたので、かなりの逸材と僕自身も思っていました。それにしても、このデカさはアラジンに出てくるランプの魔神みたいです…
ブレイディ・クインはと言うと、今年はドルフィンズのキャンプに参加していましたが、シーズン前に解雇されてしまったため今後は解説者の道を歩むようであります。ムキムキマッチョQBのイメージばかりが先行していますが、ジョヴァン・ベルチャー事件(※)直後のコメントには心打たれるものがありました。ちなみに実の姉上は、パッカーズLBであるA. J. ホークの奥様であります。

(※)カンザスシティ・チーフスに所属していたLBジョヴァン・ベルチャーが内縁の妻を殺害後、練習施設の駐車場でHCとGMの前で拳銃自殺をはかった2012年の事件。当時チーフスに所属していたクインが「SNSも結構だが、身近に触れ合う人達の気持ちをもっと察するべき」の旨をインタビューで語っていた。

ハイズマン賞を獲得したにも関わらずサイズ不足がネックとなりドラフト下位指名となったトロイ・スミスですが、翌年入団したジョー・フラッコに追われてチームを転々とする事になります。現在はCFLのモントリオール・アルエッツに所属しているようです。
名ギタリストっぽい名前のジョン・ベックも、翌年入団のチャド・ヘニーからポジションを奪われた後にチームを転々し、今はスミス同様にCFLのBCライオンズでプレーしています。
心臓疾患で夭逝したゲインズ・アダムスへのインタビューに登場しているケヴィン・コーブも、イーグルスで将来を嘱望されながら負傷と移籍を繰り返し、今年はどのチームにも所属していません。スタントンが現在プレーしているカーディナルスとエース待遇で契約を交わした事があるのも、何やら因縁めいたものを感じてしまいます。
NFL悲喜こもごもコーナーのようになってしまいましたが、上記のQB達に比べて注目度が低く先発出場経験があまりなかったスタントンが、2007年組の"the last man standing"となっている事には大変興味深いものがあります。
自分の立場をわきまえてすべき事に集中するという姿勢を維持するのは、野心やプライドの塊である若者にとって相当困難なミッションであると思います。それを実践しているスタントンの精神的成熟度はあっぱれとしか言いようがなく、その彼のルーツとなったスパルタンズ・フットボールへの畏敬の念が僕の中でよりいっそう強くなったような気がしました。

カーディナルスの躍進とスタントンの献身

第6週のゲームよりカーソン・パーマーが復帰し、スタントンは再び控えのスポットに戻りました。控えといっても、多くの若者が袖を通したくても通せないユニフォームをまとっている選手である事には変わりありません。そして今シーズンのカーディナルスがさらに躍進を遂げたとしても、スタントンの献身を抜きに語る事は出来ないと感じられる方も少なくないのではないでしょうか。

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